コンサルタントとして独立したら勤め人の時よりも年収が増えるかどうかは誰しも気になることです。
今回はこの件についてまとめてみることにします。

■名乗るだけなら誰でもなれるコンサル
世の中には実に様々なコンサルを名乗る商売が存在しています。しかし国内におけるフィービジネス(レーバーベイストフィーを含む)市場は米国などに比べるとかなり小さく、コンサルの市場として確立しているのは戦略ビジネスとIT領域が殆どであり、それ以外でコンサルを名乗るビジネスは企画料こそ徴収できていますが、その規模はごくわずかで、レイバーベーストフィーが確立されておらず企業統計などにもあまり明確に表れてこないのが実情です。
したがってマーケティングの一部や外資系あるいは国内大手の代理店のごく一部のビジネスを除けばコンサルビジネスで市場が成立しているのはやはり戦略コンサルとITコンサルの領域が圧倒的であることはまず認識しておく必要がります。

コンサル業界で確固たる実績があれば収入アップは可能

ITビジネスの領域ではしっかりとしたケイパビリティをもち、いわゆるコンサルティングファーム、もしくはIT企業のコンサルティング部門に所属して活躍していた人材ならば独立しても十分にやっていくことは可能となります。
とくに収入面では所属企業にとられていた利益部分がなくなるわけですから、たとえ受注単価がコンサル勤務時よりも安くなったとしても自らの取り分が100%になりますからかなり増加することが期待できます。
またSIのプロジェクトマネージャー経験者のような案件は単価も高く、かなり安定した収入を確保することも可能になります。

問題は仕事が絶え間なく継続できるかどうか

しかし、独立してうまくいっているように思われるフリーランスのコンサルも、よくよく考えてみると異常に単価の高い非正規雇用ですから、仕事をコンスタントに受注して続けられなくなると途端に収入が減るリスクに直面することになります。
具体的には次のような局面をあらかじめ想定しておく必要があります。

・業務受注の途切れない受注の問題
コンサルティングファームに勤務していれば、専門の人事担当者がついてできるだけ絶え間なく業務にアサインしてもらえるように調整をしてくれるわけですし、いわゆるAvailableの状態になっても給与が支払われないことはありませんから安心ですが、独立したコンサルタントの場合は、仕事の切れ目が金の切れ目になってしまいますから、どうやって営業を充実させ、最適な業務をシームレスに受注するかのソリューションを真剣に考える必要があります。
そういう意味では案件の紹介サービスを利用するのはかなり効率的で自らの仕事の受注リスクを大幅に減らしてくれる強い味方であるといえます。

・病気やケガなど不慮の要因によるリスク
健康なときには全く気がつかないものですが、毎月多額の安定した輸入が得られるようになったフリーランスのコンサルタントでも大きな落とし穴となるのが病気やケガなど不慮の要因で引き受けた業務が遂行できなくなる事態に追い込まれたときです。企業内で雇用されているコンサルタントなら、外資系の場合にはとくにシックリーブといって疾病による休みはかなりしっかり認められていますから、有給休暇以外にも疾病休暇をとることさえ可能になりますが、独立したコンサルタントは替えが効きませんから休みになれば即仕事を失うことになってしまいます。

こうしたことにならないためには日ごろから健康に留意するとか健康診断を受けるといった自助努力ももちろん必要ですが、けがのように全く想定外の事態に遭遇することもあるわけですから、収入が増えた分はまさかの時に利用できるように蓄えるとか、休業補償の保険に加入するとかそれなりの工夫は絶対に必要になってくることは常に意識しておくべきでしょう。

・自然災害など不測の事態
滅多にはないことですが、自然災害など不測の事態に見舞われたときも業務が継続できなくなるリスクが高まります。実際に2011年3月の東日本大震災直後にはいくつものプロジェクトがペンディングになったり、SIプロジェクト以前のインフラの部分が破壊されてそこから作り直すなど驚くほど想定外の事態に追い込まれたことがあります。この場合IT企業は別の業務依頼を受けるといったこともあったようですが、個別のプロジェクトがいきなりペンディングなるとある程度のフィーを得ることはできても予定されていた期間の受注業務が完全に切れるといったことにもなりかねないのです。もちろんこうした不測の事態は日常的に起きるわけではありませんが、企業に勤務していた時に比べると格段に労働に対するリスクが高まることも十分に認識して独立して働いていくことが必要になるのです。

ある意味フリーランスのコンサルタントは年収が高くなってもそれだけ個人でリスクをとっているわけですから当たり前と言える部分があるわけです。