質の高いプレゼン資料を作るには巷では様々なノウハウが語られています。その一方で成果物に高いフィーを請求するのが常のコンサル業界では、一定のフォーマットというものを重視し、データとして共有するとともに他のプレゼンやクライアントへの書類に転用することも考えるというかなり都合のいい使い方をしていることを目の当たりにしますと相当びっくりさせられるものがあります。
つまり作成物はすべて共有データとして縦横無尽に利用するものがあり、企画書にしても成果物の報告書、提案書にしても複数の人間が分業してつくる出版編集作業のようなものになっています。

ところがフリーランスになるとすべてのドキュメントは自分ひとりで作らざるを得なくなりますから生産性は一時的にかなり下がることになりますが、それでも自分で作成したものをストックしてうまく使いまわすことができればスクラッチから作成しなくて済むことになり、結果的に質の高いプレゼン資料につながることになるのです。

今回はフリーランスの視点で質の高い企画書を作る方法について考えてみることにします。

徹底してフォーマットを決め込む

大手の外資系ファームの書類を見ると表題にしても中の文書にしても細かく字体やサイズ、インデントなど書類の作成に細かいフォーマットが設定されていることがわかります。コンサルやアナリストが数十人で分担して仕上げる企画書や成果物が一定のクオリティを保っているのはそのせいで、人が変わっても、時間が経過してもすぐにキャリーオーバーで利用できるようなフォーマットがすべてのドキュメントに維持されているところは注目されるものです。
たったひとりのフリーランスコンサルでもこれはかなり当てはまるものがあり、自分ひとりで作った書類もすべてのフォーマットが揃っていれば簡単に編集したり組合せしたりして完成度と見た目の時間がかかったものに仕上げることができるのです。したがってたったひとりのフリーランスコンサルでもこうした決め事は守ってドキュメンテーションをすべきです。

■企画書のフォーマットで常にそろえるもの
こうした企画書や報告書などでフォーマットを揃えるポイントとしては、まずデザインが挙げられます。テンプレートは多少変わっても常にデザインに 統一したトーン&マナーを持たせていることは重要です。またフォントの字体やサイズも統一していくことが重要です。デザインとともに重要なのが色使いです。各ページバラバラではなく一定のトーンを守り、せいぜい配色は3色を上限としてバランスの取れた色使いを心掛けるべきです。
コンサルファームがつくる成果物はかなりぎっしりとした内容が詰まっていることでフィーの対価となっているケースが多いものですが、企画書やプレゼンのスライドのようなものの場合は掲載する中身のボリュームに注意する必要があります。当然スライドは中身は少な目になります。
グラフや写真の入れ方も統一感をもたせておけばそれ自体もデザインの一部として機能するようになります。

クリエイティブエージェンシーとは異なる知的さが必要

広告代理店やクリエイティブエージェンシーなどですとそれこそクライアントごとにフォーマットを自由に変えてフリーハンドで提案してくるケースも多いようですが、コンサルの場合にはより積み重ねられた重みのようなものを感じさせるほうがクライアントからの評価は高くなる傾向があります。やはり業態やドメインエリアが異なるわけですからコンサルらしさというものが感じられることが結構重要になります。これはたとえひとりコンサルであっても常に意識する必要があります。フリーランスの場合いかに自分に与えられた時間をうまく使うかも重要なポイントです。土日や深夜も含めて単発でクオリティの高いドキュメントを作るだけでなく限られた時間で常に一定以上のクオリティを醸成するためには効果的な使いまわしを考えることも必要なのです。

同様の案件を何回も手掛けていますと一人で作成した資料や書類を組み合わせても簡単に企画書を作りだすことができるようになります。
こうしたドキュメントの有効活用をぜひ考えて、それをベースにしたクオリティコントロールを心掛けるべきです。