21年以降の経済を予想
2020年突然降って沸いたように世界的な感染をもたらした新型ウイルスは今のところまだ収束に至る状況にはなっておらず、経済への最終的な影響がどれだけのものになるのかは今のところ明確に示すことができる状況にはなっていません。
ただ、当初多くの経済アナリストが予測したものと足元の各国のかかえる危機的状況にかなり乖離があることも事実で、まず新型ウイルスがどこで収束するのかに加え国別に経済状況を精査しないかぎり残念ながら先行きを正確に予測することができなくなっているのが実情です。
先進国中心に雇用と消費が猛烈に落ち込む可能性大
米国では既に多くの金融機関等のアナリストがこの4~6月のGDPの落込みを年率ベースで試算しはじめていますが、最低は9%台ではあるものの大手の銀行のアナリストは軒並み30%近い下落を予想しはじめており、四半期の落込みが半年になればトータルでも15%、さらに期間が延びることになればもっと大きな下落を余儀なくされることが予想されはじめています。
特に新型コロナの感染が中国で起きていた時にはサプライチェーンの寸断などから世界的に製造分野に大きな影響がでるとみられていたわけですが、実際に世界の主要国に感染が拡大しまん延しはじめてみますと国別の消費関連に大打撃を与える結果となり、とくに日銭で稼ぐビジネスは飲食から物販に至るまで想定をはるかに上回るダメージを受けています。
これにともなって週単位での雇用が進む米国などでは一気に失業者も増加する状況であり、この厳しい状態はここから6月に向けても継続は確定的であり、さらなる景気の悪化が懸念されるところです。
(画像-出典: Data ZeroHedgeより引用)
金融市場的視点では1929年の世界恐慌時の相場の動きに酷似
金融市場のほうはといいますと、3月の米株、日本株の暴落はリーマンショックに近いスピードでの下落となったわけですが、実際の相場の動きや下落幅自体はむしろ1929年の世界恐慌時の下落に近いものがあるという見方が強まっています。
左のチャートはアナログチャート分析という手法で、NVIDIAを利用したAIの分析で似たチャートを比較するといった手法が最近でも行われていますが、チャート形状だけ単純に1929年と2020年の暴落と重ね合わせて比較したものです。確かに今回の暴落のほうが下落スピードや戻しのスピードははるかに速いものになっていますが、チャート形状そのものはかなり酷似していることから、まだ二番底、三番底といった下落を試す可能性がありそうで、これが2021年まで続くことになれば当然景気にも大きな影響を及ぼすことになりそうです。
足もとの都内の繁華街などの状況を見ても過去1998年のデフレスタート期や2000年のITバブル崩壊、さらに2008年のリーマンショック時にはまったく見られなかった消費の完全消失が現実のものになっているわけですからここからの景気の低迷は事前の予測をはるかに凌駕したものになるリスクは相当高そうで、世界全体で日本のGDPである500兆円程度が簡単に失われる危険性も高まりつつあります。恐らく主要国はこのままリセッション入りすることになるものと思われますが、そこから景気が回復するためには半年や1年ではとても済まない感じで結構長い時間を要することが予測されます。米国政府はつねに大統領選挙を意識して年後半におけるV字回復を示唆していますが、現実の経済はもっと回復に時間を要することを意識しておく必要がありそうな状況です。
それにしても突然降って沸いた新型コロナの感染というだけでとんでもないことになってしまったものです。パンデミックの経済破壊力のすさまじさを改めて感じさせられる次第です。
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