最近IT系のメディアでも随所に記事が載るようになってきているのがAI・人工知能関連の実装例であり、いよいよ人工知能も実用化で様々な領域で利用されてきていることが判ってきています。これまではビジネスコンサルの世界では直接的に人工知能を使った事業計画や業務改善といった話しはほとんど出てこない状況で、概ね実験的な取り組みというイメージが強かったわけですが、ここへ来て機械学習よりもさらに精度の高い利用ができるディープラーニングが、自動運転車やコネクテッドカーの先にあるビッグデータ分析に本格利用される見通しとなってきたことから、さらに幅広い領域での利用も視野に入りはじめており、事業計画という面からも注目すべき段階にさしかかってきているといえます。

AIのプレーヤーは米国がほとんどという偏った状況

さて、人工知能の開発を手がけているところはどこなのかという視点で見回してみると、実に米国の大手IT企業が多いことがわかります。
まず一歩リードをしているのがIBMのワトソンで、クラウドの世界では若干市場への参入が遅きに失した感のあるIBMでしたが、IoTとAIの世界では大きく巻き戻しをはかろうとしており、その尖兵として注目されているのがワトソンということになります。すでに同社では自動車メーカー各社とワトソンを利用したコネクテッドカーの開発に乗り出しており、それ以外の多方面の事業会社と協業による利用を拡大しようとしていますから、目の離せない存在といえます。

またマイクロソフト、グーグル、アマゾン、アップルなどがその後を追うような形でこの領域に巨額の投資を行っており、異なる領域でAIの本格利用が拡大しそうな状況となっています。マイクロソフトはもっともIBMと競合しそうな領域でつばぜり合いをしている印象がありますが、グーグルはお得意の本業である検索エンジンでのAI利用と自動車関係、アマゾンはロボットの領域、アップルはすでにiPhoneに実装しているシリの延長線上での開発や、この領域のベンチャー企業の買収などでインオーガニックな成長をはかろうとしているようです。

日本はソフトバンクと大学などの動きが中心/意外な尖兵・中国勢


一方この領域で日本勢はどうかといいますと、ソフトバンクがもっとも目立つ動きをしており、人型ロボットペッパーの延長線上でAIを利用することやファンドを利用した企業への投資からAIの領域の拡大をはかろうとしていることが垣間見られます。
ただそれ以外大手の企業でこの領域をリードしている企業は国内ではかなり少ないのが日本の悪しき特徴でもあり、産業ロボットベンチャーのMUJINや 東大のAIベンチャーとなったプリファードネットワークスなどがその後を追っている状況です。

AIの領域で意外にもかなり投資が進んでいるのが中国系企業です。百度(バイドゥー)はシリコンバレーにもAI研究所を設立しており事実上米国企業を肩を並べる形での研究を進めていますし、この領域の投資に積極的です。さらにIPOを果たして資金面ではいくらでも投資出来る状況となっていりアリババ集団は本業のバーチャルショップや電子決済、オークションといった領域にいち早くAIの導入をすべく研究開発を継続中で、かなり早い段階でその成果を市場に示現させる可能性もでてきています。

このようにAIもここへ来ていきなり開発が進むようになっており、激しい先頭集団争いのなかで思わぬ事業化が姿を現しかねないところにさしかかってています。とくに事業プロセスや意思決定に大きく係わるAIの導入はコンサルにとっても見逃すことのできない領域となることから、常にこうした情報を積極的に入手することで市場から遅れをとらない努力が必要になってきそうで、とりわけ米中の巨大プレーヤーの動きに大注目という段階に入ってきています。