ここ数年金融市場にフォーカスしたITのソリューションをフィンテックという言葉が大流行しています。これは英語のファイナンスとテクノロジーを合わせた造語であり、日本語ではIT技術を使った新たな金融サービスと定義することができます。このフィンテックの多くは決済技術を含んでおり、モバイルを使った決済などはその典型的な事例として紹介されてきました。また国内では電子家計簿のような個人が生活で利便性を享受できるサービスも注目されてきました。今回はそんなフィンテックの業界に関してご紹介することにします。

■金融当局の規制が厳しかったフィンテックのサービスに大きな変化が
このフィンテックは米国で非常に多くのソリューションが登場し、国内もそれを追いかける動きとなりましたが、当初は各国の金融当局の規制が厳しいことから投資先としての妙味はあってもサービス事業として現実の金融マーケットに浸透するのはかなり難しいのではないかと見られてきました。
しかし近年、米国、欧州、日本の中央銀行がこれまでにないような金融緩和を繰り広げたことにより、銀行がまともに利益を確保できなくなり、とくに米国の銀行がATMの利用料を馬鹿高い設定にしはじめたことなとが追い風となってモバイルをはじめとするさまざまな決済方法やビットコインに採用されているブロックチェーンといった決済方式が、当の金融機関でも注目されはじめ、利用が開始されるという状況に至っているためフィンテックはかなりの勢いで普及の道をたどりそうな状況となってきています。
各国の金融当局も厳しく規制することよりも金融機関の利益が確保されることのように関心が集まるようになってきており、その利用にあったってかなり許容範囲が広がりつつあるのが足元の現況となってきているのです。

小額決済や国際資金決済はフィンテック中心の時代か

国内にいますとまったくぴんときませんが、米国の銀行は口座の維持管理手数料を驚くほど高く設定していますし、なによりATMから引き出す手数料が1回についき日本円で1000円近くかかる銀行が続出中で、ほとんどの消費者は現金での支払いからクレジットカードもしくは簡単に支払いができるモバイルペイメントへとシフトしはじめているのです。
また国をまたぐ送金も高い手数料を支払うことを嫌気してフィンテックの提供する決済を利用するようになっており、銀行自体がこうした仕組みを自社で導入することを考えたり、フィンテック企業との提携を行う動きがではじめている状況です。

これは国内でも同様で、金融機関自身がフィンテックに大きな関心を示し始めているのが最近の流れになってきています。

ブロックチェーン技術はさまざまなところに派生


フィンテックの技術の中でも特定の承認機関をもたずにネットワーク上に分散したデータを利用して承認するというブロックチェーンの技術は広がりを見せており、思わぬ領域での利用も拡大しそうな雰囲気になってきています。
たとえば発展途上国でネット上で提示できる身分証明を持たない人たちが、ブロックチェーンの技術を利用して証明を手に入れられるようになるといった具体的な動きも顕在化してきているのです。
またブロックチェーンを利用した仮想通貨のサービスも驚くほどたくさん市場に登場してきており、これが今後どのように淘汰され市場に定着していくかも注目されます。

■今後は業界の統合も進む可能性
フィンテック業界は中小のスタートアップカンパニーを中心にして展開中ですが、おそらくM&Aなどが活発に行われることにより業界全体がさらにインテグレートされることが予想されます。
また金融機関が積極的にコアソリューションもった企業を買収して自社の傘下に入れる動きも活発化することが予想されます。
企業によっては非常に大きく化けるところも多く登場することになるのではないでしょうか。