コンサルタントがフリーランスとして独立してやっていく場合にはいくつか独立の前に気をつけて準備をしておく必要があります。
今回はそんな内容についてまとめてみたいと思います。

■どういう仕事をしていくフリーコンサルになるのか決めておくことまず、フリーランスのコンサルになると考える場合に、最初にイメージしておかなくてはならないのはどういう仕事をしてフリーランスを維持するのかということを決める必要があるということです。SI系の外部雇用のプロジェクトマネージャーのような仕事をしていくということであれば、慢性的に人手不足ですから、フリーランスでも意外に切れ目なく仕事を継続していくことができますが、戦略系コンサルのフリーランスということになると、もちろんニーズはあるものの、どうやって安定的に業務案件を探して維持していくかということは結構大きな問題になります。

つまりデリバリーに専念しようと思っても自らの仕事の営業をする時間も考えておかなくてはならなくなりますから想像以上に仕事は大変になります。コンサルティングファームがクライアントからもらっている人月単価と人件費としてコンサルに払われているいわゆるローデットコストとの間にはかなりの乖離がありますから、フリーランスになればかなり実入りがよくなる部分もありますが、どこかのSIerの下請け的に業務委託を引き受けるだけでは実際それほど収入は増えないというのもまた現実になります。一体どのようなフリーコンサルの形態を目指すのかということをまず決めることは独立する際に非常に重要になります。

オポチュニティパイプラインをどうやって確保するのかのめどをつける

コンサルティングファームではオポチュニティパイプラインと呼ばれる仕事の見通しを立てて、パートナーレベルの人間が必死で案件の獲得に動いています。
したがって多くのシニアマネージャー以下の人間は能力されあれば、アサインされた仕事の中でしっかり成果を出せばそれで報われることになるわけですが、独立した途端に案件をどうやって確保するか、つまり通常の企業における営業部分の維持の仕方が大変重要になります。オフィスを借りたりする話はコンサルの場合ほとんどどうでもいい話で、このオポチュニティパイプラインをどうやって管理するのか、そもそも管理する前にどこからオポチュニティを取り込んでくるのかを決めることが重要になります。

最近ではERPの実装などの領域ではフリーランスのプロジェクトマネージャーの案件を紹介してくれるサイトも多くなっており、それなりの高単価で仕事を引き受けられるケースも増えていますが、戦略系のコンサルタントの場合は残念ながらそうしたオポチュニティが潤沢にあるわけではありませんから、仕事のとり方については事前段階で真剣に考えておきませんと独立した途端に開店休業になりかねない状況です。これもフリーコンサルならではの懸案領域ということなります。
たとえば懇意にしているSI会社などがあってPMの案件について常に声がけしてもらえるといった関係が構築できていると案件管理業務はかなり楽になります。
こういった先を独立する前に確保できるかどうかも準備段階では重要なテーマとなることは言うまでもありません。

業務のバックログをどう確保するかも大きな問題

ひとつの業務委託契約がとれて半年間は安心して働けるとしても、次の仕事をどう確保するかのバックログの問題もフリーコンサルには重くのしかかる課題となります。
大手のコンサルティングファームに所属していればプロジェクト参入後サービスインで終了が見えてきた段階であらたなプロジェクトに絶え間なくアサインされることから優秀な人材は遊ぶ間もなく次の仕事に参入できるわけですが、フリーのコンサルは人事部門がやってくれているこうした業務アサインの調整とバックログの確保を自ら行わなくてはならない点も大きな負担になります。

半年後からしか仕事を請けられないとなると、意外に次に仕事を探して確保しておくことが難しくなりますので、いつもぎりぎりに次にプロジェクトを見つけることになり、ハラハラドキドキの連続となってしまうのは言うまでもありません。
一度フリーランスになりますとこうした業務受注に関する気苦労は絶えないものになりますので、これまでのコンサルの業務とはまったくことなる部分に相当力を使わなくてはならなくなることだけは覚悟が必要になります。

■なにより独立する目的や意味がどこにあるのかしっかり認識すること
独立しても案外SIのプロジェクトのPMといった職種でコンサルの需要があることは事実ですが、さらによく考えなくてはならないのは、そういう職種をSI会社やクライアントから業務委託を受けて実施していくことが独立した後の期待すべきフリーコンサルの姿なのかどうかという点については事前によく考える必要がありそうです。
ひとりでやるコンサルティングというのは、いわゆるコンサルティングファームが複数の人間で行う総合的なプラクティスとはかなり異なるものであり、ややもすれば既存のコンサルティングファームに対するボディーショップの形態になってしまうケースが殆どです。
独立しても食べていけるようにはなったものの理想のフリーコンサルとは程遠い状況になるといったことがおきないように事前にこのあたりはよく考えておきませんと後から自らの仕事に納得がいかなくなるといった事態も考えられます。
厳しい内容ですが、このジレンマはかなり現実に起きる問題です。