コンサルタントの職務経歴書の書き方
コンサルタントの職務経歴書を書く場合には概ね2つの方法があります。事実に基づきこれまでのプロジェクト経験を時系列的に記載するタイプと、ケイパビリティをまとめ、それに対応した実績のアウトラインを記載していくタイプです。今回はこれについてご紹介していくことにしましょう。
■プロジェクト経験を時系列的に記載する職務経歴書マネージャークラスまでのコンサルタントの場合、職務経歴書を書いてもってこさせるとだいたいほとんどの人が作成してくるのがプロジェクト経験を延々と時系列的に記載する職務経歴書です。同業者のコンサルティングファームに移り、ほとんどこれまでと同じような職種でビジネスを行っていくことを想定しているのであれば、こうした職務経歴書もそれなりにワークすることになります。しかし、シニアなコンサルタントの職位を目指す場合や事業会社などコンサル経験をレバレッジにして新たなビジネスへと転職をしていく場合には正直なところまったくうけないフォーマットがこうした書き方であるといえます。
同業者間の転職の場合、レジュメを見て面接するのはパートナークラスですから、ある意味でこうした書き方は何をしてきた人物なのかが逆によくわかるのでこれで十分という採用者がいることは事実ですが、これがワークするのはかなり若い層に限られることだけはあらかじめ認識しておく必要があります。
特に事業会社などでは正直なところ、この手の職務経歴書を書いて送りつけますとまったくアピールせず、書類審査であっけなく落とされるというショッキングな事態に直面することもあるため要注意となります。
ケイパビリティベースの職務経歴書
プロジェクト経験を時系列的に記載する職務経歴書と対照的なのが、まず自分にどのようなケイパビリティがあるのかを最初に列記して、それを裏付ける業務経験を後にまとめて書いていくというやり方です。シニアマネージャーやパートナークラスともなれば、コンサルタントといえどもこうしたケイパビリティ重視の職務経歴書を書くべきで、これならば同業界でも他の業界への転職でも通用するものになります。もちろん事業会社に転職する場合には応募するポジションに合わせた形でケイパビリティの順番や強弱は募集内容にマッチしたように書き換える必要があります。
ただ、ケイパビリティというのは言うは易しですが、本当に列記できる知見と能力を求められることになりますから、若手でとにかく毎回プロジェクトにアサインされているだけではなかなか書きづらいものになります。
自分で自分の行ってきたことを冷静に評価してみて、一体どの領域で何を培ってきたのかについては自らの業務を冷静に考える上でも一定の期間ごとに常にまとめてみる必要があります。
外資系のコンサルは常に職務経歴書を書き換えて持っている
ひとつコンサルの職務経歴書で面白い話があるのは、外資系のコンサルというのはほぼ全体の半分以上が常に次の仕事を探しているといわれていることです。
Up or Outという言葉があるように昇進するか外に出るか出されるかというのが常に付きまとう業界ですから、ほとんどのコンサルタントはまさかのときのために次の仕事を常に探しながら働いているというのはまんざら嘘の話でもありません。したがって何時でも提出できるように職務経歴書を新たなプロジェクトに入るたびに書き足しているとも言われ、プロジェクトベースの職務記述書にしておくのがリバイスしやすいといった事情もあり多くのコンサルタントが前者のフォーマットを利用する傾向が強いようです。
また、若手のコンサルタントにとっては、ある意味現象的にプロジェクトに投入されているだけなので人に胸をはっていえる一定領域の知見がないという人も実は多いのが実情です。それでも精通する業界とともにERPが得意領域なのかCRMなのかBPMなのかといった大きなくくりでの自らの能力を語れるように準備をしておくことはきわめて重要になります。同一業界や事業会社などを含めて、採用にひっかかるキーワードというものはいつの時代でも必ずあるものです。たとえば足元ではIoTやディープラーニング、RPAなどという領域はそもそも係わっているコンサルの数がどの企業でも少なく知見の限られた領域ですから、細かなことを書かなくてもそれだけで採用になるといった特別なキーワードがあることを意識しておく必要があります。もちろん知見がないのに嘘は書けませんが、自ら何に精通したいのかを日ごろから意識し、それを実現できるようなプロジェクトにアサインされることでケイパビリティを高めるといった日ごろからの努力が結果として受かる職務経歴書につながることを忘れてはいけません。
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