コンサルティングの業界というのはその性格上一定以上の売り上げと利益にプライオリティをおいていることから、ERPなども導入で大きな資金がかかる部分に自らの業務をフォーカスしてきています。
その結果、導入後のメンテナンスや改定運用というデイリーな部分についてはどの会社もアウトソーシングのような形で引き受けができないかぎりあまり高い関心をもってはいないのが実情です。
しかしすでに多くの導入が進んだSAPのアフターマーケットでは利用企業は恒常的にSAPシステム技術者を求めており、意外にもその数は慢性的に不足気味の状況となってきているのです。

■SAPならではのコード知見を必要とすることが不足の原因
SAPの場合、一般的なITのオープンシステムと大きく異なる部分が存在します。それがトランザクションコード回りの知識で、常にSAPのシステム管理や更新、保守といったプロセスをサポートするためにはこの特別なコードに関する過不足のない知見を要求されることになるわけです。
しかしこうした知見の持ち主はやはり導入系の仕事のほうにとられる傾向があることから市場では予想以上のSAPシステム技術者が枯渇する状況が続いているというわけです。
とくにこのトランザクションコードは導入・保守の技術者が利用するものだけではなくユーザー側が利用するコードにも精通していなくてはならないことから、ますますそれに対応できる人材が必要になってきているといえるのです。

SAP利用大規模企業にフォーカス

SAP利用大規模企業にフォーカスして保守ビジネスもこれからはねらい目フリーランスでSAPの知見を持つコンサルタントは今後導入だけにフォーカスするのではなくこうした既導入済み企業におけるSAPの保守や改定作業なそにフォーカスしたビジネスに従事することも十分に考えられる状況といえます。
国内では大手企業からSAPを導入してきただけに初期導入からすでに20年近くを経過する企業も多くなりますし、なによりHANAを使ったビッグデータビジネスやIoT連係にSAPを利用するとなりますとさらに拡張性を要求されることも多くなり、保守管理からSAP関連の長期業務委託契約をクライアントとの間で締結している場合には、こうした新たな領域に関する導入コンサルティングを受け持てる可能性も高くなります。

大手のコンサルからの二次受けのプロジェクトマネージャーなどのビジネスの受注ではなく、クライアントとダイレクトな契約を取り付けることができれば、より安定的でしかも中間搾取のない収益妙味のあるビジネスを受注することも可能になってくるというわけです。

どれだけクラウドが進化してもSAPのオンプレミスはなくならない

SAPもかなり新規導入にクラウドタイプのセールスが進んでいるようですが、今後インダストリーモジュールのレベルが上がれば満足度も高まるものとは思われるものの、依然としてオンプレミスに導入するライセンスモデルのほうは簡単にはなくならないことが予想されます。 ひとつは各企業のコンプライアンス上の問題をなかなかクリアできないことやパフォーマンス上の問題など完全には解決しない部分が大手のクライアントであればあるほど多く存在しているからで、今後もSAPに関連するビジネスは国内のSIビジネスから消滅することはまったくない状況にあります。

しかしそのビジネスへの関わり方というものは実装から異なる形で引き継がれていることになるという点はかなり意識しておく必要がありそうで、それに早く気がついた人間に大きなビジネスチャンスが巡ってくることになるのではないでしょうか。 SAP技術者が自らの価値を維持し高めていくためにもこうした市場の変化というものはしっかりと把握していくことが肝要であるといえそうです。