これまで自社のERPなど基幹システムとのシームレスな接続を安全な状況で実現するというだけの視点から考えますと確かにオンプレミスで展開するプライベートクラウドに安心感があったのは事実ですが、いよいよIoTを利用したエンタープライズビジネスが現実のものになろうとしている今、爆発的にデータの保有が拡大するIoTビジネスではもはやプライベートクラウドでは潤沢なスケーラビリティを確保することができず、どうしてもパブリッククラウドをうまく利用することが、事業採算性の面から見ても事業の安定的継続性の視点から見ても必要不可欠になろうとしているのです。ビッグデータというのは一旦蓄積をはじめてしまいますと、移築することがきわめて難しくなりますし、日常的にデータアクセスが必要になれば利用を一時的にとめるということすら難しくなることが容易に想定されます。

こうしたことから今後のエンタープライズ系のクラウド利用はパブリッククラウドを中心に考えていくことが必要不可欠な状況になろうとしているのです。またAI・人工知能の現実的な利用も広範に始まりつつあるため、ビックデータの仕分けにパブリッククラウドを利用するケースもではじめており、こちらもパブルッククラウドを活用する大きなきっかけになりつつあります。
これまではオンプレミスで動かしてきたCRMの一部をSaaSに移項するとか、IaaS上に手持ちのソフトを実装して利用するといったような部分最適と基幹システムとの連動性といったものが重視されてきたクラウドでしたが、これからは大量なデータ保有と効率的処理を行うために使うことが大きな役割となってきていることからパブリッククラウドへの需要が新たな時期にさしかかってきていることがわかります。
したがってビジネスコンサルとしてもこの領域に鳥瞰的な視点をもって企業 の事業戦略としても効率的な運用が出来るような利用をクライアントに提示できるような知見を保有し蓄積していくことが求められるようになってきているのです。

IoT時代のストレージスケールアウト確保にはパブリッククラウドが必須

実はこのクロネコヤマトの宅配を窮地に追いやることになったのがアマゾンの新たなサービスであるプライムという顧客サービスが 原因ではないかと言われています。これまでのアマゾンの発想ボリュームというのはクロネコヤマト全体のたった3%程度ということ ですから決定的な影響を与える存在になろうとは誰も思わなかったはずですが、実はこのプライム即日配達を約束する仕組みになっており、 これまで最低翌日に配達していたものを当日に配送してしまうもので引き受けてしまったことからクロネコヤマト側はとんでもない 労働強化になってしまったことが明らかになりつつあります。

もともとクロネコヤマトは事前段階でかなり細かく配送の日時を設定できるわけですが、当日配達というのはとにかく当日間に合うこと を必死に守る仕組みであり、本来そこまでして届けてくれなくてもプライム会員になってしまうとかなりのものがそうした配達の対象に なってしまうことがアマゾンに猛烈な労働強化とコスト効率の悪さをもたらすことになってしまったようなのです。
複数の商品をアマゾンのプライムで購入しても配送センターは商品カテゴリー別に異なるところから送られてくることになるため、完全に単品ごとの配送になって しまいますし、結局当日届いても時間帯が逆に指定できないためせっかく無理して当日の夜に配達しても結局不在などというかなり残念なケース も頻発することから、アマゾンが勝手に顧客にギャランティーしたサービスが引き受けた運送業者のクロネコにとってはとてつもない非効率業務 になってしまったというわけです。

企業におけるクラウド利用のグランドデザイン力を提供できることが重要


こうなってきますといかに効率的、かつ短期間にパブリッククラウドを中心としたサービスを活用してサービスインを行うことができるかが事業戦略上も非常の大きなポイントとなってきますので、ビジネスコンサルの視点としても単なるオンプレミスITの置き換えとは異なる高次元でのクライアントへの提案力を発揮することが重要になってきます。パブリッククラウドをうまく使いこなすことが競合他社との競争環境での優位性を発揮する時代になっているともいえるわけです。
足もとでクライアントサイドから話を聞きますと、こうしたニーズに対応できる戦略的で実務的なコンサルタントというのはまだまだ少ないのが実情となっていますから、いち早くこの領域でしっかりと座を築くことができれば市場での大きなプレゼンスを発揮することができるようになるのではないでしょうか?

ビジネスコンサルにとっては改めて注目すべき領域がパブリッククラウド利用ということになるのです。