コンサルティング会社の離職率に関しては転職で応募しようとする人たちからかなり頻繁に聞かれることが多い話題です。
端的に申しあげて離職率はかなり高いと思ったほうがいいと思います。国内外の各社ともに離職率、英語でいうattrition rate というのは相当高く外資系のファームではほぼ3割以上が離職していくのは一般的です。本邦系のシンクタンクではここまで高いことはないようですが、それでも一般的な事業会社に比べると高い水準にあることは間違いありません。

この離職率の高さの理由について今回は考えてみたいと思います。

外資系ファームの基本はUp or Out

これも実によく言われることですが、外資系のコンサルティングファームは基本的に雇用した人材を終身雇用しようとはそもそも思っていません。
どこの外資系のファームでも同じだと思いますが、パフォーマンスが悪い下から5%というはカウンセリングアウトなどという名称をつけて会社を退職してもらうように動いていますから、普通にしていても離職率は最低5%は当たり前のようにあるのです。
またマネージャーやシニアマネージャーといったプロモーション(昇格)に乗れなかった人材はそのまま平社員コンサルタントのまま一生を終えるようにはできていませんから、やがて辞めていかざるを得ない状況に追い込まれます。

こういう話を聞くと入社する意欲が減退する人もいるでしょうが、これはパートナーレベルでも同じで、一旦パートナーになったら終身雇用ではなく、一定期間で売り上げを大きく伸ばししていかれないと、シニアエグゼクティブでも退場を余儀なくされるのです。
辞めていく人たちもそれが当たり前と思っていますので、特別複雑な人間関係になったり憎悪が溜まっていくといったこともなく、あとあとも結構連絡を取り合って気さくに付き合ったりしているようで、こうした文化なのだということはまず理解しておかなくてはなりません。
パートナークラスでも50歳をすぎた人材はかなり少なくなりますから、そもそもコンサルとして大手の企業で働く時間は通常の60歳や65歳まで働ける企業と比べますとかなり短いことは意識しておかなくてはなりません。

外資系のファームのコンサルはみな転職を意識して働いている


面白い話なのは、だいたいコンサルタントはみな履歴書や職務経歴書を最新にアップデートしていい案件があればいつでも応募できるようにしているということです。
これは本当にそうで、ほとんどの人間が会社に残るか外に脱出して働くかを常に意識しながら葉たらしているのです。
本邦系の企業などでは考えられないことですが、これもひとつのカルチャーということで、中で働いている人たちはあまり意識はしていません。
だいたいすべての外資で働くコンサルがこの調子ですから、国内のがちがちのヒエラルキーをベースにした会社から転職してきた人材はだいたいその考え方についていけず短期間に出て行くケースが多くなります。

またホテリングシステムなどといって決まった席が会社に用意されていない状況も国内系企業からくる人材にとっては耐え難いようで、我慢しきれなくて再転職するケースが多くなるのは事実です。
こうしたカルチャーであることをあらかじめ相当しっかり判っていませんと入社試験は突破できてもその先がついていかれないということになりかねません。
まずはカルチャーギャップを乗り越えられるかどうかは相当よく考えて転職を決められることが重要になりそうです。

■そこまで極端ではない国内系の会社を狙うのもひとつの手
外資のエキセントリックとも思えるほどあっさりした思考に耐えられないと思うのであれば国内系のコンサルティングファームに絞って転職するとういのもひとつの考え方です。
業界的には似たようなものではありますが、国内系は外資ほどドラスティックではありませんのでもう少し長いスパンで働くことも考えられるはずです。
コンサルタントとしての成長をはかることを考えた場合どちらが幸せかは応募者ご自身の価値判断ですが、やはり業界全体としては常に出入りの激しい中で仕事をしていくことになるという点だけは、納得して応募することが必要になります。