このコラムでも足元のコンサル市場でのトピックとしてRSAに注目が集まりつつあることはすでにお知らせしていますが、ここへきて外資系のコンサル各社が本格的に国内企業用のRPAコンサルの体制を整えるべく整備をはじめていることが注目されます。
改めてRPAについてまとめてみますと、ホワイトカラーの自動化の流れはすべてRPAとして定義されることになります。
今後20年あまりで世界市場で47%の雇用が自動化・機械化される見込みであり、マッキンゼーの推計によれば2025年までに全世界で1億人以上の知的労働者の仕事がRPAによって置き換えられると見られているのです。

省力化で余剰の人材は新たな知的業務へのシフトが可能

 一部の外資系コンサルファームではRPA専門のコンサルタントの国内での採用を始めているところもあり、RPAはどうやら本格的に本邦市場でもビジネスになりつつあるようです。
市場調査会社TMRの分析によると2020年には日本円にして5000億円がRPAの市場規模となる見込みで、今はちょうど黎明期のCRM市場に近い状況に見えます。

■国内ではシェアードサービスより有望な市場に
2000年代の初頭、BPOというアウトソーシングプロセスが米国の市場で非常に流行りはじめ、日本でも中国の大連やインドのバンガロールを使ってオフショアのアウトソーシングが大きく進むかのように見られました。
確かに一部の先進的な企業は経理などの定型作業を大連のオフショアセンターを使ってアウトソースするといった業務委託に乗り出しましたが、やはり言語の問題もあって米国企業が気軽に使うほど国内ではBPOは進まず、保険などの業界ではむしろニアショアのサービスを利用するなどの動きも見られることになりました。
しかしこうしたシェアードサービスは言語の問題はクリアしたものの、委託コストは自前の従業員を使わなくてもいい程度のものであり、BPOを利用することにより劇的なコストダウンが実現したわけではありませんでした。
しかし、足元では認知技術の向上でRPAが大きなプロセス変更ないしに人が行ってきた定型業務をそのままプログラム化して代行できるようになったことから、ロボット化によるコスト削減は明らかにBPOよりも大きなものが望めるようになっているのです。
こうしたことが外資系コンサルファームが国内でこのビジネスに力を入れる大きな要因となっているようです。

ブロックチェーン技術はさまざまなところに派生

RPAの導入はなにより、企業全体で人の最適配分とスキルセットの再開発の大きなきっかけとなる点もコンサルファームにとっては新たなチェンジマネジメントのネタになろうとしています。
これまでバックオフィスで人海戦術で業務を行っていた従業員の多くが定型作業からより知的生産的の高い業務へとシフトできるようになるということは企業の中での本質的な働き方改革につながるものであり、ある意味で大胆な事業戦略の見直しにもつながることになるため、コンサルティングファームにとってもこの上ない利益機会となっていることがわかります。

■RPA関連業務はフリーランスコンサルにとっても絶好のビジネスチャンス
RPAは世界的に見てもまだまだ始まったばかりですし、欧米系のベンダーがサービスを国内にも持ち込もうとしていることから、現状では大手のコンサルファームもこの領域のビジネスを始めたばかりで、ほぼ互角に業務に取り組むことができる状況です。
実際の業務はベンダーとのアライアンスで実現することになるものと思われますが、RPAの考えかたやどのような定型業務に適用できるものなのか、また導入後の組織の変更や重点配分すべき業務の策定などその周辺で発生するビジネスチャンスを取り込むこともできることから、早期に知見を高めることは大きなプラスポイントになろうとしているのです。
コンサル業界に登場する新たなイノベーションの領域は一斉に市場でスタートを切られることになるため意外にもフリーランスのコンサルにとっても大きなビジネスチャンスになろうとしているのです。
こうした知見をカッティングエッジとしていち早く身に着けるのも業界を生き抜いていくためのひとつの手法になりそうです。