10年後のコンサル業界に必要とされるケイパビリィティ
普通にしていても市場におけるThought Leadershipの内容はかなり毎年新しいものが登場するコンサルティング業界ですが、10年後この業界を考えますと大きく変化を求められるケイパリビティとなりそうなのがIoTとAIの領域に関するものです。足元では実業界から投資マーケットにいたるまでIoTやAIは大変な注目を集めるようになっていますが、現実の国内市場を見渡してみますとあらゆる産業でこの領域に知見をもった人材が圧倒的に足りないことのは火を見るよりも明らかな状況で、社内に人材がいないからこそ外部のコンサルタントに依存しようとする企業が今後激増することが予想されます。しかしコンサル業界とて状況は変わらず、そもそも大学や大学院までの専門領域でこのあたりを触ってきた人間が非常に限られていることはコンサル業界のケイパビリティ増強を考えた場合でも相当な問題になりそうな状況が見えてきます。
IoTとAIの必要人材はデータサイエンティストをはるかに超える
まずIoTに関して言いますと、クラウドとの連係、通信インフラの整備、データの他社との共有、AIを利用した精度の向上、確固たる利益を上げられるビジネスモデルの策定など、そのビジネス開発とプロセスのあらゆる部分で必要なケイパビリティをもった人材が不足していることが危惧されます。
たとえばIoTインフラのもっとも大きな領域となる可能性が高まっている自動運転車開発の世界では、国内のプレーヤーはほとんど登場しなくなっているという、偏り方を見せ始めています。
またAIの世界ではすでに大学などの研究機関自体に本邦勢の大学の研究室などの名前が一切登場してこない状況で、米国のグーグル、フェイスブック、Open AIといった企業やスタンフォード、UCバークレーなどの研究室が市場を完全に席捲していることが手に取るようにわかりはじめています。
IT化が進む中にあっては、ビジネスコンサルタントやITコンサルタントが現業のコンサルティング案件から新たな知見を学び、それをものにすることでケイパビリティアップの道を開いてきたといえますが、IoTはまだその可能性が残されているとしてもAIに関してはこれまでのように連続した道の延長線上にはないビジネスが登場する可能性が高く、コンサルティング業界として第一線級の人材の能力をキャッチアップすることがかなり難しくなりそうなところにさしかかっていることが分かります。
コンサルティング業界自身がAIを利用することも考える必要あり
コンサルティングという職種はRPAなどがAIとの連係によりかなりの普及を見せたとしても会計士や弁護士の専門職と同じように最後まで人のヘッドカウンドで稼動するビジネスとして生き残ることが予想されています。
しかしながら人事といった社内の専門職の領域も簡単にはAIに仕事を奪われることはないとされてきたにも関わらず、足元ではAI人事が大流行で、もはや応募者のレジュメや職務経歴書などはAIが読み込む時代がもうすぐそこまで来ようとしていますし、ややもすればAI実装のチャットボットが応募者の一時面接を行うのもそれほど先の話ではなくなりつつあります。
となるとコンサルティング領域でもクライアントに提供してきた他社のこれまでのベストプラクティスといったものは、コンサルティングファームといえどもAIに任せる時代がやってくる可能性がかなり高くなりそうで、コンサル自身が生産性の飛躍的向上のためにAIを利用する局面が到来することも視野に入れる必要がありそうです。
こうなるとコンサルタントは人にしかできない付加価値の高い業務というものをよく見極める必要がでてくることになります。
ドキュメンテーションで大量の成果物をパブリッシングのごとくクライアントに提出するのが半ば仕事のようになってきた戦略系などの若手コンサルタントの仕事も冷静に考えれば、相当な判断力を求められる付加価値性がない限り、AIにとって変わられる可能性があります。
この手の話はとかく灯台下暗しになりがちですが、コンサルティングビジネスといえども例外ではないという視点で業務プロセスを見直していくことがこの10年ではもっとも大事なことになるのではないでしょうか?
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