国内ではかなり以前から少子高齢化が進むことは予測されていましたが、ここへきて生産労働人口がかなり顕著に減少を始めていることから、あらゆる産業の労働力不足がはじまりつつあります。足元では働き方改革なども推進されはじめていることから、人手不足を限られた人間が余分に働いてなんとかするわけにはいかなくなってきていますし、国内では移民を受け入れるのにもさまざまな問題があることから米国のように簡単には行かない部分が残されています。GDPの約6割を担う個人消費はそもそも人口が減って若者が少なくなり、収入のある労働者が減少しているわけですから、どのような業種も決して堅調とは言いがたく、実は相当困った状況に陥り始めているのが現実です。

中高年を対象にしたエルダービジネスに焦点を当てるという話もかれこれ20年近く前から浮上してきてはいますが、団塊の世代が実際に中高年で定年を迎えてみてわかったのは、彼らは思いのほか自分の生活のことにお金を使わないということで、最近では葬儀のビジネスに注目があたるなど、必ずしも前向きではない状況が続いているともいえます。
そんな中で少子高齢化社会を勝ち抜くビジネスといえば新たな領域でのITの活用ということが注目されそうです。

IoTやRPA、AIなど人の代わりをITが行うビジネスが注目ポイント

国内の市場に目をやりますと、やはりITが人の代わりを行ってくれるようなビジネスに大きな活路があるものとして期待されます。
とくにIoT市場は社会インフラとして機能することから非常に市場規模が大きく、IDC Japanの試算によれば2012年という比較的直近の国内の市場規模でも11兆円、年間平均成長率は17%となっていますから、足元で可視化されているもっとも有望な成長産業ということができるでしょう。
またRPAなどのソフトウエアロボットの導入もホワイトカラーの生産性向上と人手不足の補填という視点では非常に大きなものがあり、コンサルティングファームのビジネスでもこの領域に力を入れる企業が非常に多くなっており、専門家の養成も進んでいます。

またAIが人の代わりを行うという事業領域も今後国内では大きく進展していくことが想定されており、コストダウンの視点、労働力不足の解消という視点でAIを利用することは国内ではかなり大きなビジネスになることが予想されています。

コンサルティング領域では事業承継やM&Aといったビジネスも活発化

コンサルティングやアドバイザリーファームの領域では今後非常に多くなりそうなのが中小企業を中心とした事業承継やM&Aという案件です。
これまでの高度成長期のM&Aなどと違って後継者がいなくなる中小企業ビジネスをいかに廃業ではなく他の企業につなげていくかを真剣に考えるビジネスも花盛りになりそうです。
これまでM&Aといえば大手の先端企業が行うものというイメージが強かったわけですが事業承継を念頭に入れて、マネジメントバイアウトやエンプロイーバイアウト、他社が買い取るM&Aという手法を中小企業でも積極的に導入していくことが求められるようになってきているのです。

こうした中小企業の売却は価値を認めることが一苦労になりますし、適正な価格で売却できることが経営者の残りの人生の生活資金にもつながるため、案件を取りまとめるのはなかなかの努力が必要になります。
フリーコンサルタントとしてはこの領域に関心を高めることは意外な利益機会につながる可能性もありそうです。

このようにこれから少子高齢化を勝ち抜くビジネスは産業やカテゴリーもさることながらビジネススキームがITをいかに利用してものになるのかがひとつのポイントになりますし、国内でもっともその数が多い中小企業の事業をどう継続させていくのかも相当なビジネスチャンスなってくることが予想されます。