外資系コンサルの資料作成能力
外資系コンサルファームでコンサルタントとして働き始めると、まずかなりびっくりするのがドキュメンテーションに細かなレギュレーションが設定されており、すべてのコンサルがそれに基づいて書類を作成していることです。
これは英語、日本語にかかわらずほとんど同じようなレギュレーションがグローバルで決められていることから、言語を変えてもまったく同じようなレイアウトの日本語版のドキュメントを作成できている点にはかなり驚かされることになります。
それまで自由にパワーポイントの作成をしてきた人間にとってはかなり面倒にみえる仕組みすが、この発想の原点には二つのグローバルファームとしての効率的な業務視点が潜んでいるのです。
実は根底にあるのはプロパティとナレッジシェアリングの発想
外資系のコンサルティングファームがドキュメンテーションにきわめてうるさく従業員に徹底しているのはこのデリバラブル(成果物)を一定の資産として活用することを考えているからで、個人が作ったものでもそれを簡単に編集して企業としてあらゆる活動に利用していこうとする発想があることがこうした動きにつながっているといえます。
あらゆる成果物は世界中のコンサルタントにシェアできるナレッジマネジメントのシステムができあがっていますから、一度ドキュメンテーションしてできあがった書類は常に二次利用、三次利用ができるようになっているのです。
また、大量なページのドキュメントの作成でもつねに同一のレギュレーションに基づき作成することで数十名のコンサルタントが分業してもひとつの書類としての体裁が整うようにできているのも大きな特徴です。
言葉は悪いですが、大手の広告代理店などのクリエーターやマーケッター、営業担当者が作成するパワーポイントはひとつひとつはそれなりのクオリティになっていますが、クライアント担当ごとにばらばらで、まったくナレッジシェアリングの発想が盛り込まれていません。
ある意味属人的に作成・管理されているだけで会社としてのプロパティであるという意識は皆無です。
しかし具外資系のコンサルティングファームはあらゆる業務活動を次の利益機会に結び付けられるように最初からデザインされている点が大きな違いといえます。
フリーランスコンサルでも十分役に立つ発想
こうしたいつでも二次利用、三次利用できるようなフォーマット化を行っておくというドキュメンテーション手法はフリーランスのコンサルでも非常に役立つ発想になります。
SAPなどERPの導入などをめぐるドキュメントはコアになる部分がほとんど同じですから、毎回手の込んだ作成を行わなくても一定の書式レギュレーションで作成し、保管しておけば簡単にカット&ペーストでクオリティの高い書類を複数ページ生成することができるようになるのです。
もちろん大きなファームにおけるナレッジシェアリングとは比べものにはなりませんが、それでもひとりコンサルであってもこの考え方は相当役に立つものとなるのです。
ベストプラクティスというのは世の中にはそれほど沢山の事例が出回っているわけではありませんし、特に実装の事例ではかなり各方面で多様できる機会が多いものです。こうしたちょっとした決め事を守るだけでも相当効率的なコンサルティングを実現できるようになるのです。
細かな図などはとくに一度作成したらそのまま何度も流用可能になりますから、しっかりとした管理をしておくことが重要になります。フリーランスのコンサルでも日ごろからデリバラブルのファイル管理をしっかりしているだけで、パソコン内のデータを検索するだけで実に短時間に新たな提案書の作成や報告書の作成ができるようになるのです。
こうした発想は確実に身につけておくことが重要です。
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