コンサルに学歴は必要か
コンサルタントに学歴は必要かという問題は業界内でも話題にはなるものです。一般的にビジネスコンサルティングの世界では、タイム&マテリアルでかなり高い金額を請求するということもあり、投入されるパートナークラスからシニアマネージャー、マネージャーなどの主要な人間については一応学歴や業務経験がクライアントに開示されることになりますので、コンサルファームとしてお金を請求しやすいのは一定以上の学齢をもった人間ということになります。
■実際は学卒者レベルではたいした違いはない
国内の学校に目を向けますとたしかに高校卒常時にどのレベルの学力があるかでどこの大学に入れるかが決まってくることになりますが、医者や弁護士、薬剤師のように国家資格をとるような職種の場合は確かに学校名も重要ですが、一定の要件を満たしているという点ではあまり学校は重要ではないともいえます。
しかしながらコンサル、とりわけビジネスコンサルは商売になるならないと関係なくいくらでも自称で名乗ることだけはできるわけですから高い学歴をもっていたほうが信用されやすいという外形的な要件としてついてまわっていることは間違いありません。
そろそろ時効でしょうから話題にしてもいいと思いますが、数年前FM局で米国の一流大学を卒業し、MBAも取得して外資系コンサルティング会社の共同経営者であることを名乗ったとんだ学歴・経歴詐欺の単なる高卒DJが話題になりましたが、やはり見かけと巧な英語力だけでなくそれを裏打ちするような学歴がついていると、少なくとも国内では信用されやすいという現実をまざまざと見せつける事態になったことは記憶に新しいところです。
米国のMBAホルダーは教育資金の回収先としてコンサルを選択
米国では私立の大学を卒業するのに簡単に5000万以上の費用がかかり、MBAホルダーともなればさらにプラス2000万~3000万というコストが卒業までにかかることから、こうしたコストを回収するためには普通の企業で働くのではなくウォールストリートの高額な給料が得られる金融機関やコンサルティングファームを選択するのがひとつのトレンドになっています。これはまさに教育投資に対する回収という視点で止む無くそれに見合う仕事を選択しているともいえ、米国ではこの傾向は延々と続くことが予想されます。
ということはビジネスコンサルの領域に関しては常に高学歴者が肩を並べて市場に参入することだけは間違いない状況で、それにどうやって伍してやっていけるかが新規にこの市場にエントリーする学生にとっては大きな問題になりそうです。
高度な専門性を要求される領域ではもはや学歴は関係ない
ただし、今後のコンサルティングビジネスフィールドで考えますと、単に有名大学だけ出ましたでは商売にならなくなってきていることもまた事実です。
たとえばIoTやAI,RPA、ドローン、クルマの自動運転などといった領域では実務的な経験があり、しかも技術的な知見をもった人間が圧倒的に不足していますから、プラクティカルにノウハウを企業に伝授できる人間は学歴が伴わなくても十分にコンサルとしてやっていける機会が与えられることになります。
ただ、こうした領域で先駆者として評価されるためには人に先んじて知見を積み上げ、リアルな業界でしっかりと評価されるようなケイパビリティを有することが重要になってくるのではないでしょうか。
またITのコンサルタントもレガシーなIT案件の実装経験やERP、サプライチェーンなどの経験だけを積み上げていたのでは、包括的な次世代デジタル社会には対応することができなくなってしまいます。
コンサルタントに求められる知識や経験もここからは想像以上に大きく変わることになります。
学歴は高いに越したことはないですが、それだけでコンサル業界を生き抜いていけるほど甘い世界ではなくなりつつあることをしっかり認識すべきです。
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