フリーランスと派遣はどんなところに違いがあるのでしょうか。企業のために働くという意味では似ているような気がしますが、実はかなり異なるものがあります。フリーランスというのはひとくちで言えば個人事業主で一人の会社のような存在ですから派遣に比べれば収入を大きく増やすこともできますが、逆に企業経営と同じように大きなリスクを背負ってビジネスを行っているという自覚が必要になります。今回はそんなフリーランスと派遣との違いについてみていくことにします。

■雇用関係が決定的な違い
フリーランスも派遣も正社員ではない働き方ではありますが、その中身はかなり異なるものになります。派遣社員は企業との雇用関係というものが存在しますが、フリーランスは基本的に業務委託契約に基づいて報酬が払われるだけで雇用関係というものは一切存在しません。そういう意味では派遣社員は労働基準法に守られていますが、フリーランスには全く適用されないものです。
また保険や年金についても派遣社員は金額は小さいながらも雇用関係のある会社を通じて提供を受ける仕組みが存在しますが、フリーランスは自らそれを進めないかぎりどこからもサポートは受けられません。
また派遣社員は一定の契約に基づく労働提供ですから、業務上発生した経費を計上することは決められた内容以一切できませんが、フリーランスであれば、業務遂行にかかるコストは経費で計上できるというメリットがあります。

契約次第で自由度が高い業務となるのがフリーランス

また働き方も大きく異なります。派遣社員は派遣先と派遣会社との契約に基づき客先を勤務先として時間を区切って働くことが基本となりますが、フリーランスの場合には業務委託契約の内容次第では自宅で業務を行うこともできますし、月間で何時間客先に常駐するかを決めればあとの時間は自由に利用することも可能になります。
したがって時間をうまく管理し、契約すれば並行して一か月に2つ以上の業務をこなすといったことも可能になる自由度と自在性が存在するのがフリーランスです。
ただし、時間管理に失敗してしまうと業務をこなしきれずにオーバーワークなってしまい、だれからの助けも得られないのがフリーランスのリスクですから、常に仕事量についてはしっかりとした見立てと自己管理が必要になってくるのです。

■報酬も決定的に異なる
フリーランスと派遣の違いでもうひとつ決定的なのは報酬の違いです。派遣の場合は業務を依頼する内容次第で金額が決まりますが、残念ながら正社員が行うよりもコストがかからないことから利用されているケースがほとんどであるためその労働単価の上限は極めて限られたものになります。
しかしフリーランスは社内にないケイパビリティを持っていることで業務委託を受けることがほとんどですから業務の労働単価は個々人のフリーランサー次第ということになります。
たとえば社内には一切いないAIやディープラーニングに対して非常に深い知見をもっている人材ということになれば一か月100時間の労働に対して500万払ってくれるところもあれば1000万支払ってくれるところもあり、通常の社内の従業員の労働コストからと比較して算定することのできない報酬を得ることも可能になるのです。
つまりフリーランスワーカー次第でその労働生産性はいくらでも高められるという大きなメリットが生じることになるのです。

リスクが断然大きいのがフリーランス

ただ、フリーランスは冒頭でも書きましたとおり一人で経営と勤務する企業のようなものですから、その経営がうまくいかなくなればあらゆるリスクが降りかかってくることになります。
大規模の企業であれば病気やケガによる休暇も一定レベルまでは認められ、給料をもらうことはできますが、フリーランスの場合にはこうした病気、ケガといった問題が生じると契約不履行に陥ることがあり、損害賠償を請求されることもありますし、何よりそれ以降の仕事を受注することができなくなり、いきなり経営不安に直面することになるのです。

ですから社員として働いていたときよりも大きな報酬単価で仕事をすることで金銭的なリスクを減らしたりするのは当たり前で、コンサルタントとしてフリーランスになるならば収入を増やしていくことは第一義的な目標になると考えておく必要があります。

このようにフリーランスの特徴というものはしっかり理解しておくことが非常に重要です。
働き始めてから気がついたということがないようにしっかりと認識しておきましょう。