国内におけるSAP JAPANの売上はかなり堅調で、クラウドの売上も伸びている中にあってオンプレミスのライセンスビジネスもそれなりの増加がはかられれていることからSAP導入ビジネスは依然堅調に推移していることがわかります。
もちろんひと昔前に比べますと大規模な導入は一巡し比較的小規模な導入やリプレイスメントが多くなっていることは間違いありませんが、SAPのケイパビリティをもつフリーランスにとってもオポチュニティパイプラインは比較的多く用意されているようで、当面の心配はなさそうな状況です。

ただし、グローバルレベルでのSAPのビジネスの内容はかなり変化を遂げ始めており、今後同様の状況が国内のSAPビジネスにも訪れることはほぼ間違いないことから、新たなケイパビリティを積み上げる努力をすることがこの領域で長く生き残るための最良の方法になりそうです。

世界的にはHANAの顧客が急成長

数年前からSAPが世界規模でその導入を進めてきたデータウエアハウスのHANAの顧客数が急激に増加傾向にありERPと連係するビッグデータ活用がかなり本格化しつつあることがよくわかります。
国内でも先進的な企業はすでにHANAを利用しはじめていますが、この領域はますますビジネスが増加することが期待されますので、SAPのケイパビリティホルダーは率先して知見を高める努力をしていくべきでしょう。
とくに大手のコンサルファームでもこの領域のエキスパートは限られていますので、今のうちに先鞭をつける努力をしておくことは大きな投資になりそうです。またSAPでは本国ドイツのインダストリー4.0の動きに連動してIoTビジネスも積極的に推進しようとしていますので、この領域でもHANAとの連係はきわめて重要になります。

■クラウドへの傾斜が鮮明に
また、SAP全社レベルではオンプレミスのライセンスビジネスからクラウドベースのビジネスへの傾斜が非常に鮮明で、国内でも既存ユーザーの今後のリプレイスメントはクラウドが中心になることが容易に予想される状況です。
ただ、本邦のクライアントはカスタマジングが非常にお好きでアドオンも多いことから、なかなかクラウドベースのサービスの内容に満足がいかないところもあり、そうした領域がSAP技術者にとっての新たな課題になることも考えられます。
したがってクラウドベースのSAPについても今からしっかりと知見をつみあげていつでも対応できるようにしていくことが重要になりそうです。

ERP連係のビジネスは絶対になくならない

 ERP領域にもかなりクラウドサービスが登場し、クライアントも積極的にそうしたものを選択しようとしていることから近い将来のSAP関連の実装ビジネスがかなり廃れるのではないかと危惧されているフリーランスの方も多いことと思います。
しかしERPの領域は企業の根幹でもあり、10年一律で一切新しい手を加えずに利用するのは社内や企業環境の変化に対応できなくなることから想像以上にリプレイスメントや新たな導入への企業の意向が強いものとなっています。

もちろんコモディティ化した領域はクラウドへと移行することになりますが、戦略的に差別化しなくてはならない領域やクリティカルなデータを扱う領域などはまだまだオンプレミスも残ることになり、ERP領域の中でクラウドとオンプレミスのハイブリッド的な利用が進むことが予想されます。
こうした状況下ではSAP関連のコンサルタントや実装に関わる技術者に求められる知見も大きく変化することになりますので、それにいかについていけるように自らの能力を高める努力ができるかがここからの大きなポイントになりそうです。
これはSAPビジネスに関わるコンサルすべてが直面している問題であり、フリーランスにとっても大きな挑戦テーマとなることでしょう。しかし逆にそこにビジネスチャンスが存在するのです。