コンサルティングビジネスをやっていますと最も気になるのがコンサルフィーの単価になります。この単価は比較的横並び感が高いものですがSIの実装領域になるといわゆるインプリメント専門のベンダーが提供する人月単価におされてコンサルティンぐ会社が提示する単価は価格競争力を維持するために低くせざるを得ない傾向にあります。一部の外資系のコンサルでは実装専門に別会社を設立して従業員の給与体系自体をビジネスコンサルと分けることで下げる努力をしたりしていますが、この領域では国内系のSIプレーヤーのほうが何かと安くなる傾向があり、単価設定はいろいろと苦労をしているのが実情です。

コンサルフィーの計算の仕方

この業界での仕事の経験のある方は既にご存知の通りコンサルティングファームでは仕事を受けるときに業務内容を確定し、それをパートナークラス以下何人でこなすのかを計算したうえでクライアントに見積もりを提出することになります。
一般的には請求額は個別の従業員のローデッドコスト(給与の日単価)に50%以上の利益を載せるのが普通ですが、特別な業務に関してはその利益率を下げざるを得ないケースも存在します。
たとえばパートナークラスなら時間単価6万~10万、シニアマネージャーで4.5万~5万、マネージャー3.5万~4万、コンサルタント2万といったような形で請求単価を決め各業務参加者の労働時間をこれに掛け合わせていくような形態をとっています。

ただ、パートナークラスが1時間単価10万円で月間140時間もフルにチャージしてしまいますとそれだけで1400万になってしまいますから、上の役職者のチャージ時間は少なめで、下のものになればなるほど専従的に働くような組み合わせをとってなんとか価格をクライアントのニーズに合わせる努力をしているのが実情です。
この領域は仕事を受けるパートナーよりも人事部門がアソートすることが多く、全体のチャージャビリティの管理とともにバックオフィスがサポートする業務となります。

フリーランスコンサルへの発注単価は得意先請求から利益を除いたもの

クライアントと直契約でビジネスコンサルの業務を請け負った場合には、シニアレベルなら月間100時間の労働提供で400万以上請求しても大手の外資系コンサルの請求額に比べれば安いと喜ばれることもありますが、何分ひとりだけの業務となると総合力を発揮できませんから単純に価格だけの問題ではなくなることがありますし、デリバラブル(成果物)にもかなり気を遣うことになります。
実装作業の場合にはフリーランスが単独で業務委託を受けるケースはよほどのことがないとありえない状況ですからどうしてもコンサル会社、SI会社を通して仕事を受注することが主流となります。

このような大手のコンサルのサブコントラクターとして働く場合には彼らがクライアントに請求する額から利益を差し引いたものがフリーランスの取り分になりますので、PMOの対得意先月額単価が300万ならばフリーコンサルとの契約単価はその半分の150万以下といったケースがほとんどです。
SI関連でERPなどの実装にコンサルファームのサブコントラクターとして参加する場合には月額50万から150万ぐらいの幅での仕事が圧倒的に多くなるのはこうした事情があるからで、この領域の業務依頼が多いはそのためといえます。
コンサルファームが業務委託を受けて請求する額に比べるとずいぶん安いような気もしますが、正規の社員として給料を受け取るよりは多めに請求ができるケースが多いのでフリーランスのコンサルは力があって仕事が途切れなければ意外に高い収入を確保することができるといえます。
とくにこうしたサブコントラクターとして働く場合には専用のオフィスなどは必要とならないため、経費は非常に限定的になり実入りは大きなものになります。
またコンサルファームを通さずに仕事をクライアントから受注できればさらに単価は上昇させられる可能性があります。

全般的に戦略的なビジネスコンサルというのは国内では市場規模が小さくなりつつあり、今やSIの実装やアウトソーシングなどが伴わないとなかなかコンサルもビジネスを確保しにくくなっています。
したがってSI領域ではどうしてもサブコントラクターとしてフリーランスを活用せざるを得ないケースも多く、フリーコンサルにとっては仕事のしやすい環境であるということができそうです。