社内で多くのITプロジェクトを行う企業では、部署としてPMO・プロジェクトマネジメントオフィスを設置しているケースが多くなります。
このPMOとは一体どのような仕事をするものなのでしょうか。今回はそんなPMOについまとめてみました。

■PMOの基本的な役割とは・・PMOは欧米系の企業でスタートした仕組みであり、企業内におけるプロジェクトマネジメントを主たる業務にしている集団ということがいえます。このPMOにおかれるプロジェクトの責任者がPMOマネージャーと呼ばれる人間になります。PMOは製造業のみならずITを多用するハイテク、金融機関・生損保などの業界でも広範に設置される部門となっています。PMOには概ね4つほどの役割が要求されます。国内の企業におけるシステム開発プロジェクトは成功率が年々低くなってきていることから社内にこうした専門部署を設けてエキスパートが担当するようになってきているといえます。

・プロジェクトの可視化
プロジェクトを適切な期間内で成功させるためにはいかにうまくマネージしていくかが重要になります。そもそもの要件の確認とともにその進捗管理やプロジェクト途上の課題の管理進行、リスクの設定と進行管理、さらに全体予算の管理などチェックしていかなくてはならない項目をあらかじめ掲出し、その管理を行うことがまず大きな任務となるのです。

・プロジェクトメンバー内のコミュニケーション管理・進行
プロジェクトにかかわるメンバーのコミュニケーション管理と進行を行うのもPMOの大きな役割のひとつです。ITに絡むプロジェクトは様々な人間が関与することとなり、社外の人間多く投入されることから、プロジェクト期間中にいかに効率的な的確なコミュニケーションが実現できるかがプロジェクト自体の成功に大きくかかわる問題となります。これをうまく仕切り管理していくことがPMOに求められることになるのです。

・企業経営者の意思決定をサポートしていく
プロジェクトは内外の様々な要因から変化が生じることがあり、その内容を正確に理解・把握することにより適宜、マネジメントの判断を仰ぐことも必要になります。こうした経営判断を正確に実現するための情報収集もPMOの大切な役割となります

・プロジェクトの総合管理
もちろんプロジェクトマネージャーが所属する以上PMOがスタートしたプロジェクトを総合的に管理することが求められます。

PMO内のメンバーの構成について

一般的にはPMOには以下のような役割を果たす人材が所属します。

・PMOマネージャー
PMOマネージャーはその名の通りプロジェクトを統括するマネージャーとなります。一般的にはプロジェクトマネージャーを兼務することもありますが、独立したPMOマネージャーを置く企業も多くあります。

・PMOアドミニストレーター
PMO部門の事務担当者として機能するのがPMOアドミニストレーターです。

・PMOエキスパート
PMOアドミニストレータと組になって情報やデータの分析をおこない、アウトプットに責任を持つのがPMOエキスパートとなります。
しかし多くのPMOでは複数のプロジェクトマネージャーを抱えているもののアドミニストレーターの数は限定的で兼務するケースもあり、企業によってその構成は様々に変化するのが実情となります。
またPMOの下にプロジェクトマネージャーとして外部のコンサルやフリーランスコンサルタントを起用することもあり、PMOの構成メンバーはすべて正社員とは限らない状況にあります。

PMOに必要な資格とは・・

PMOになるための資格としては公的なものがあるわけではありませんが、日本PMO協会がプロジェクトマネジメントについての能力を試験するプロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(NPMO認定PJM-A)とPMOスペシャリスト認定資格(NPMO認定PMO-S)という2つの資格をもっていれば信頼度はかなり高くなりますし、PMOとして転職する際にも有利になります。
ただ、実際にはやはり資格云々よりいかに大きなプロジェクトを運営したかの場数をこなすことが非常に重要な経験になるといえそうです。