KPT法というのもコンサルティングの業界ではよく聞く言葉です。これはKeep,Problem,Tryの三つの言葉の頭文字からKPT法と呼ばれているものです。
Keepとはその名のとおり振り返ってみて今後も続けたいことであり、Problemは振り返ってみたときに問題だったこと、さらにTryは次の振りかえりまでにやってみようとすることを指します。このようにプロジェクトや業務に関わるメンバーが常に振り返りを行いその内容を共有して次なるアクションを進めていくというのがこのKPT法の考えかたになっているのです。
プロジェクトを総括するためにふりかえりという行為を定義づけたところがKPT法の大きなポイントということができるでしょう。

KPT法の進め方について

まずこのKPT法は通常のプロジェクトであれば1週間から10日に一回程度の割合で実施するのが適切と思われます。さすがにあまり頻繁に行うのではなく、ある程度の成果、問題などが顕在化してきた時点で実施するのが肝要といえます。
Keep,Problem,Tryの内容の書き出しは会議の場でやっても構いませんが、本来は事前に個人レベルで行っておき、会議の中でそれを順次発表していくおとで意見交換を深めていくというやり方がかなり効率的です。
やはりチームメンバー全員が参加して意見を言うことが重要ですから会議で強い発言をした人間に引っ張られるのではなくあくまで参加者全員が発表できるようにすることが重要といえます。

Keepにはうまくいったこと、ならびに今後も継続するべきことを書きだします。同様にProblemでは課題や問題と感じたことを書きだし、Tryは今後やるべきことを書きだします。
複数の人間が参加した会議にすればそれぞれ異なる視点で書きだしてきますから、そこには大きな気づきが発生することになり、Keepから得られるものは今後の改善策につながり、Problemから出たものは解決策として利用することが可能になるのです。

チームでの情報共有と修正が目的なのであまり突き詰めないのが得策

このやり方は複数の人間が絡むプロジェクトや業務を円滑に、しかも常に修正して効率の高い、しっかり成果の上がるものにしていくのが目的ですが、あまりガチガチの会議にしてしまい徹底して突き詰めるというやり方は実は好ましくはありません。シンプルな方法で、しかも参加者がしっかりと理解できて気楽に参加できるという雰囲気を醸成することもKPT法を利用したプロセスを成功させる大きなポイントとなっているのです。問題発生の犯人捜しや特定人物の糾弾などの使ってしまってはチームマネジメントの最適化ツールとしてのKPT法の利用価値は損ねられてしまうことはあらかじめ十分に意識しておきたいところです。

■KPT法はどんなところで使われているのか?
このふりかえりのKPT法は実際にはさまざまなところで利用されているようです。たとえば、アジャイル開発のようなものの場合には常にふりかえりといプロセスが重要な役割を果たすことになりKPT法はまさにぴったりのアプローチとなります。
また、個人がひとりでふりかえりをするときにもこの枠組みで考えてみると役に立つことがあります。もちろん普通はプロジェクトの複数メンバーで行うことが効率出来ですが、頭の中を整理するという点でいえば一人でまずやってみるというのも意外な効果を発揮するものとなります。
振り返りという点ではPDCAサイクルのようにかなり厳格なプロセスを回していくことも重要になりますが、チームとしての意識共有や相互理解といった領域でも役にたつのがこのKPT法であるといえるのです。
初期段階ではなかなか効果を発揮することができないことも多いものですが、積み重ねてこのプロセスを利用していきますと多くの参加者に気づきが発生し、大きな結果をもたらしてくれるようになるのです。