頻繁に使われるコンサル用語とは
どこの業界にもターミノロジーと呼ばれる専門用語が存在します。
コンサルティング業界はこの20年近くIT業界と非常に親和性が高く市場でのテーマをかなり共有してきていますからターミノロジーで頻繁に使われるものは近似性がある状況ですが、それとは別にコンサル業界ならではの用語というものもかなり存在します。
今回はそんな頻繁に使われるコンサル用語の中でも外資系の社内を中心として日常的に使われるものをご紹介してみたいと思います。
■ディプロイ
戦略系のコンサルティング会社といえども業務の領域は多岐にわたっており、インダストリー別、戦略系、ITデリバリー系、アウトソーシング系など産業別、ケイパビリティ別で所属先が異なることになります。
最近ではデジタルに特化して部門に所属するコンサルタントも少なくはありません。こうした所属先をディプロイと呼んでいます。
もともとは軍事用語で兵士や軍隊を配置するとか展開するという言葉から転用されてきているようです。
チャージャビリティ
コンサルティングという業務でもっとも重要なのがチャージャビリティです。
コンサルタントはどこかのクライアントの何等かのプロジェクトにアサイン(任命)されて業務を行うことになるわけですが、この業務に自分の労働時間をどれだけチャージできているのかということが一つの評価基準になっています。これをチャージャビリティを呼びますが、一般的に外部のクライアントの業務に100%チャージすることはないとはいえ80%程度の高いチャージャビリティが保たれていれば安心して業務に専念することができます。
逆にチャージャビリティが50%程度と低くなりますと、評価は下がり、下位にランクされているコンサルタントは定期的に解雇されるリスクを伴うことになるため、殆どのコンサルがこの数字をどれだけ高く維持するかにしのぎを削ることになるのです。
アベイラビリティ・アベる
逆にアベイラビリティという言葉もよく使います。具体的なコンサル業務にアサインされず売上を上げられない状態のことをいい、社内で仕事がない状態に陥ることをアベるなどとも呼んでいます。
社内全体に業務が少なくて多くのコンサルがアベる状態ならば会社の問題ですが、スキルと業務のマッチングがはかられず特定個人だけアベる状態に陥っているとすれば、問題はもっぱら個人の能力に起因するものとなりますからこちらも深刻です。
■UP or OUT
Up of outという言葉も外資系のコンサルではかなり昔から使われているものですが、要するに昇進するか辞めるかしかないということで、言い換えれば昇進できないものは必ず会社を去っていくということになります。
最近では一流国立大学の理系の卒業予定者が非常にハイレベルなコンサルへの就職を希望しているようですが、この業界はかなり終身雇用の崩れた日本社会にあっても特に終身雇用が維持されない業界で早ければ2?3年からどんどん転職していく業界であることについてはしっかり認識しておく必要があります。
その一方で米国本社のマネジメントレベルは意外にも生え抜きから転職抜きでマネージングパートナーになっている人間も多く、足元でもまさにUp of outは実践されていることがわかります。
■デリバラブル
英語の単語としては知っていても日本人であれば頻繁に使わない言葉がデリバラブルです。こちらは成果物のことでプロジェクトにおけるデリバラブルといえばどんな成果物を提出するのかということを示す言葉となっているのです。デリバラブルは業務委託契約時に規定されることが多くSIのプロジェクトならばシステムの稼働がデリバラブルですが、戦略コンサルティングでは書類の形でデリバラブルが規定されることがほとんどとなります。
■カットオーバー
SIプロジェクトが終了した場合、多くのコンサルファームではカットオーバーと呼びます。
これは仕事が終了してまさにクライアント先から撤収するというイメージが強くなりますが、IBMなどではむかしからシステム稼働のことをサービスインと呼んでよりカスタマーセントリックな言葉遣いをしている点が大きな違いになっています。金の切れ目が縁の切れ目といった感じに聞こえるこの言葉は最近ではあまり積極的には外部に対しては使われなくなっていますが、社内的にはまだまだ業務の終了をこう呼ぶケースが見られます。
今回ご紹介したのはほんの一例にすぎませんが、こうしてみますと何気ない言葉であっても結構コンサル特有の用語があることがご理解いただけると思います。新卒で入社した時には実に耳慣れないこうした言葉もコンサル業界に1年もいれば当たり前のように使いだす用語となっているのです。
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