ひとむかし前に経営コンサルタントに求められたのはもっぱら戦略的なものが多く、人事のコンサルタントなどはおよそITの実装などとは関係のない人材として働くことができたものです。
しかし時代は変わり、2000年代以降はコンサルのビジネスとテクノロジーは切っても切り離せないものになろうとしていますし、IoT,AI,RPAといった新たな領域で企業内部に知見がないことから外部のコンサルタントに新たなビジネス領域について援助を求めるクライアントも非常に増えるようになってきています。
そんな中で経営コンサルタントに求められるスキルというものにはどんなものがあるのかについて改めて考えてみたいと思います。

■スペシャリストとして機能する業界知見をもっていること
まず経営コンサルタントは特定業界に精通していることが極めて重要な武器として必要になります。
個別の業界は抱えている問題や競合環境などがそれぞれ大きく異なるものですから、まず基本認識レベルでその業界のクライアントと話をしてずれのない理解ができることが求められます。高い報酬を払ってでもコンサルタントに助言を求めるクライアントはやはり圧倒的にその業界に詳しく、他社を含めてのベストプラクティスを知り尽くし、その中から戦略差を見出して新たな事業戦略を構築、提案できる人材に期待を寄せていることは間違いありません。

聞き取り能力の高さ

業界に精通しているといったことがコンサルに求められるとまず書きましたが、それとは別に基本動作ができることもあらためて重要なコンサルタントに求められるスキルとなります。
コンサルタント本人がいくら業界に精通していても、クライアントの状況をしっかりと把握することができなければなんの意味もありません。
それを実現するものが聞き取り能力です。英語ではインタビュースキルなどともう呼ばれますが、クライアントの経営トップやキーマン、各部門のエキスパートから話を聞くことによりいかに情報を引き出すか、また具体的なイシューがどこにあるのかをしっかり把握することができることは足元のコンサルタントビジネスでもきわめて重要なスキルとなるのです。

■先進テクノロジーに精通していること
90年代から2000年台初頭までは業務にITのシステムテクノロジーを導入することで生産性と効率性を高める時代が続きましたが、いよいよあらゆる業界でIoTやAIといったこれまでになかったテクノロジーを使って人間以外のものが生産性の向上に寄与する時代が到来しようとしいるのです。
ドイツでは国が主導してインダストリー4.0などと呼ばれる製造業のデジタル化、コンピュータ化が進もうとしていますが、まさにこうしたデジタルトランスフォーメーションを具体的にインダストリースペシフィックに落とし込んでけん引していけるコンサルタントが強く求められる時代になっているのです。
最新テクノロジーに詳しい人材も乏しいわけですが、さらにそこから業界向けにアプリケーションを構築できる人材はここから先10年程度相当重用される時代になるものと思われます。

プレゼンテーションスキル

コンサルタントに求められるさらにもう一つのスキルとしては、いかに人に説明して納得させられるかというプレゼンテーションスキルの高さです。
業界情報に精通し、ITや最新テクノロジーへの知見が深くても、結局クライアントが理解し、納得できるような戦略プランを説明できなくてはなんの意味もありません。
ドキュメンテーションという意味ではどのコンサルタントも一定以上のスキルをもっていることが多いものですが、クライアントを十分に納得させるロジックの策定をその内容の見せ方というのはやはりコンサルの腕の見せ所となるのです。

もちろんコンサルとして機能するためにはそれ以外にも様々なスキルが求めらますが、今大きな視点で必要なスキルというとこうした4つに絞られてくることになるのではないでしょうか。