2020年に東京で開催されるオリンピックは特別な需要を喚起することからここから2年間の経済は比較的順調に進行しそうな状況になっています。
しかしそれとは対照的に大きな問題になりつつあるのが、米国トランプ大統領が仕掛ける保護主義的な政策で、世界は米国がけん引する形で過去20年以上グローバリズムを進化させるような経営戦略・事業戦略を敢行していたわけですが、この戦略を大きく見直すべき時間帯に差し掛かりつつあり、コンサルティングファームの経営戦略にも大きな影響を与えかねない状況となりつつあります。

国際的な安全保障から撤退しグローバリズムを終焉させる米国

実はこのクロネコヤマトの宅配を窮地に追いやることになったのがアマゾンの新たなサービスであるプライムという顧客サービスが 原因ではないかと言われています。これまでのアマ米国のトランプ大統領が就任以来進めている政策は既存の米国の資本主義を悉く崩しかねないものばかりで非常に理解しがたいと思っている方も多いことと思われます、しかし彼が進めているのは結局のところ米国にはびこっていた既得権益者を一掃して労働者に利益を分配できる社会にしようとしている点がオバマの政策やヒラリークリントンが進めようとして政治と大きく異なるものになりつつあるのです。

米国では資本主義を構成するのにもっとも重要な存在とされてきた中産階級がどんどん消え失せようとしており、ITと金融がけん引してきた米国の経済も結果的には一部の人間だけに富が偏在するようになってしまいトリクルダウンも起こらないという極めて危機的な状況になってしまっているのです。
トランプの政策というのはこれを悉く潰すことを前提にしているだけに、既存の既得権益者の視点で見るとかなりわかりにくいものになりますが、ヒラリークリントンではなくトランプが大統領に選ばれ、今も中国に対する厳しい関税政策を履行していることでラストベルトの労働者たちから高い支持を得ているという点にはかなり注意しなくてはならなくなっているのです。

労働人件費の安いオフショアに工場を置く企業のグローバル化も転機に

こうしたトランプの政策変更は個別企業のグローバル戦略にも大きな変化をもたらしかねない状況になりつつあります。まず世界の警察としてあらゆる地域の安全保障に深くかかわり資金も兵力も供給してきた米国は国際的な安全保障の場から姿を消そうとしているのです。欧州のNATOについても中東についても東アジアの北朝鮮についても米国が中心的な存在から姿を消すことによるネガティブな効果はかなり大きなものになると思われますし、これまで世界的な視点で生産設備を設置しグローバルサプライチェーンを展開してきた大手の企業もその戦略を再構築せざるを得ないところに来ているというのが足元の状況です。
こうなるとオリンピックの特需などで浮かれている場合ではなく、米国が進める保護主義化の流れにいかに損害を被らないように事業戦略を考えていくかが大きな課題になりつつあるといえるのです。

コンサルティング業界もここ20年間はグローバリズムの視点で事業戦略を練ったりオフショアのアウトソーシングを活用することで効率性を高めることをかなり重視した戦略提案をクライアントに行ってきたわけですが、少なからずトランプが持ち出してくる保護主義政策、恒久的な関税政策を精査して事業戦略を見直すべき時代がやってきているといえるのです。
もっともグローバル化を指向しビジネスモデルとして周辺にも広めてきたはずの米国自身が大きくこの戦略から新たな保護主義に舵を切ってしまったのはいささかショックな状況ではありますが、米系企業の事業戦略にも相当な影響がではじめており、これは戦略系のコンサルティングファームがもっとも注目すべきテーマになりつつあるのです。
冷静な視点でみますとここから5年10年先はコンサルティングファームにとっても新たな戦略提示ができるかどうかの非常に厳しい時間帯に入ることが予想されます。
これをビジネスにうまく利用できるところは成長が約束されますが、旧来の発想だけを抱えているところは大きく市場で遅れをとることも考えられるなかなか厳しい状況になってきているといえるのではないでしょうか。日本市樹も決して例外ではない状況が到来しそうです。