米国でスタートしたコンサルティングファームはパートナーシップ制度で共同経営者が資本を持ち寄り、事業を展開するということが基本であったため、長きに渡って株式市場に上場することはないままに時間が過ぎていくこととなりました。
しかしこのパートナーシップ制度における米国のLLCのような組織体は儲かったらすべてのパートナーで利益を山分けするといった発想が強く、もともとコンサルティングファーム自体が事業戦略上大規模な投資を行うということが殆どなかったことから上場で資金調達を行うという発想がありませんでした。
しかし2001年アンダーセンコンサルティングがアーサーアンダーセンと袂を分かち、社名もアクセンチュアに改称してNYSEに上場してからは、多くのコンサルティングファームが上場というものを視野に入れるようになり、国内でも気がつけば結構多くのコンサル手イングクラスタの事業者が上場していることがわかります。

国内の主な上場コンサルティング会社

足元で上場しているコンサル系の会社を並べてみますと以下のようになります。

・ドリームインキュベータ 東証1部        ・ビジネスブレイン太田昭和 東証ジャスダック
・GCAサヴィアン  東証1部          ・リンクアンドモチベーション 東証1部
・三菱UFJリサーチ&コンサルティング 東証1部    ・日本M&Aセンター 東証1部
・三菱総合研究所 東証1部            ・船井総合研究所 東証1部
・野村総合研究所 東証1部            ・(株)エル・シー・エーホールディング)東証2部
・フューチャーアーキテクト 東証1部       ・タナベ経営 東証ジャスダック
・シンプレクス・ホールディングス 東証1部    ・山田コンサルティンググループ(株)東証ジャスダック
・シグマクシス 東証一部             ・ウルシステムズ(ULSグループ(株)) 東証ジャスダック
・ベイカレント・コンサルティング 東証マザーズ

こうして一覧にしてみますと、え?これコンサル会社なの?というところもかなり混在していますが、証券業界としてはコンサルカテゴリーに入るところも多く、いわゆる戦略コンサルやITコンサルの世界の大手が上場しているわけではないことがわかります。

ここには入っていませんがIBCS(IBMビジネスコンサルティング)は2002年にPwCが本国のIBMに買収されIBMの一部として機能してきましたが、日本だけは別法人となっており、最近では日本IBMと経営統合されるという形になっています。こちらもそういう意味では上場会社の一つということができるといえます。

上場のメリットについて

上場によるメリットとしては、やはり資金調達がしやすくなることが挙げられます。コンサルティング業界としても市場の変化に基づいて事業を大きく変化させることになりますし、必ずしもコンサルタントのヘッドカウントだけで利益を上げるフィービジネスではない領域にも入り込む必要が出てきていることが、上場を考える企業が増える大きな要因になっているものと思われます。

また外資系のコンサルティングファームの場合、パートナーの収入部分をストックオプションで賄うことにより会社への貢献がそのまま自らの収入を大きく増加させることにも役立っており、実際にシニアエグゼクティブの収入もストックオプションの付与が行われるようになってからそれまでのパートナーシップの時以上に大きなものになっている状況にあるようです。日本法人の社長を退任してストックオプションを売却し数十億の金額を手中に収めた方もいらっしゃるようでやはり経営者にとって魅力的な仕組みになっていることがわかります。

アクセンチュアの場合にはシニアレベルのポジションには上場後かなり頻繁にストックオプションが振る舞われた経緯もありますので社員にとってもいいインセンティブになっているようです。
ただ、国内の大手コンサルの場合この動きにすべてが追随しているわけではないのもまた事実で、各社上場に対する考え方は様々であることもまた事実となっています。