AIは想像以上に早いスピードで社会に浸透しつつあるようで、特に様々な業種の事業の中に取り入れられるケースやAIを導入した商品の発売も目立つようになってきており、さらなる普及が期待される状況になりつつあります。
しかし社会全体でいいますとAIに対する知見と事業化に対する能力というのは個別企業では相当低く、外部から提供されるソリューションをどう総合的に判断して使っていくかの事業計画についてはこれまでのIT以上に外部のケイパビリティを必要としており、この領域に対するコンサルティングファームへの期待も高くなりつつあります。

ワンポイントソリューションから骨太の事業への視点が必要

AIを先行して利用しはじめた企業は今のところ既存の商品やサービス、ビジネスプロセスの一部にAIを導入し始めているところですが、いまのところまだワンポイントソリューションに過ぎないものが多く、かなりよくできた使い方をしているものもあれば、話題性だけを狙った商品やサービスも多く登場しており、玉石混交の状態が続いています。今後AIが普及し、人間の役にたつためにはよりビジネスプロセスの一部を人に代わって肩代わりするようなシステム的利用が必要になってくるものと思われますが、まさにこの領域こそが高い知見をもったコンサルティングファームに求められる能力となってきている状況です。

こうしたクライアントからのニーズに応えるべく、一部の外資系コンサルティングファームは独自のプラットフォームを開発することでクライアントに提供を始めています。アクセンチュアなどは既にネットでも大々的に広告活動を行い始めていますが、果たしてどれだけの産業に対応できるのかが非常に興味のあるところといえます。
一方IBMのようにAI開発に長年従事しているところは提供できるソリューションのレベルが高いことからコンサルティング部門を含めてどのようにクライアントの訴求し、事例を増やしていくかが大きなポイントになってきているようで、既にグローバルレベルでの展開が始まっていますので通常のコンサルティングファームとどのように差別化された提案を顧客に出していけるのかに注目が集まることになります。

■コンサルファームもプログラムを提供開始
問題は国内の独立系のコンサルティングファームの対応で、SIのようにカスタムでAIを扱えるようになるのか特定のパッケージなりプラットフォームなりを担いでビジネスに乗り出すのかの判断に関心が集まりそうです。

生産性向上や収益性の向上にどう寄与できるかが最大のポイント

AIの場合個別商品の利便性アップもさることながらビジネス領域では人がやっていたことを肩代わりすることでどれだけの生産性をアップさせられるか、またそれによりどれだけの収益性を向上させられるかが大きなポイントになろうとしています。この領域でも単なるAI化ではなく事業視点で正しく分析、評価し、改善のコンサルティングができるようになることがコンサルファームにも強く求められる状況です。
足元ではコンサルタントの知見と能力をいかに高めてクライアント二ーズに対応できる人材を輩出することができるようになるのかがコンサルファーム自体の大きな課題となっていることは言うまでもありません。

大学や大学院、研究機関を含めて国内ではAIに絡む仕事をしていた人間が極めて限定的であり、米国と比較しても人材の絶対数が少ない中でどのようにナレッジトランスファーしていくかも国内で仕事をするコンサルファームにとっては大きな課題になりつつあるようです。
AIはそれぞれの産業の事業会社以上にコンサルティングファームにとっても重要なビジネステーマとなってきているのです。