同じフリーランスで働くということになってもフリーコンサルタントとフリーエンジニアは月額等の労働単価がかなり異なるものになります。結果は言わずもがなでフリーコンサルタントのほうが断然稼げるわけですが、なぜこうしたことが起きるのでしょうか?
これはそもそもコンサルティング業界というものが特別な存在からスタートしていることに起因していると言えます。
今回はそんなフリーコンサルとフリーエンジニアの単価の違いについてまとめてみることにします。

コンサルは大手企業の仕事のみとってきたという経緯

もともとコンサルティングファームのビジネスは米国から日本に入ってきたもので、とくに戦略コンサルティングの単価というものは当時から非常に高いものとして知られてきました。
したがってクライアントもそれこそ年商5000億、経常利益ベースでも1000億円以上あるようなところでないとなかなか仕事を受注することができないため、大きい企業から順番にアプローチしていくことで一定以上の単価を維持することに努めてきたわけです。
したがって戦略以外のITコンサルティングについても若干単価は下がってもそれに準じるような価格体系を維持してきていることが、この領域におけるフリーランスのコンサルの単価にもかなりプラスな影響を与えているといえます。

同じコンサルを名乗っても不動産コンサルティングやマーケティングコンサルなどは価格体系はバラバラでおよそレイバーベーストフィーとは思えないような単価でコンサルと引き受ける業界もあるわけですから、経営とITの領域のコンサルはかなり特別な存在ということができます。

フリーエンジニアは裾野が広く単価もまちまち

一方エンジニアに関しては、そもそも裾野が広いということもありますし、派遣といった業務形態のエンジニアの投入もあるわけですから、自ずとその単価には制約がかかってくることになり、特に低価格でも労働力を提供する事業者なども存在することからどうしても相対的な価格はコンサルタントを名乗る人たちよりも下がってしまうという大きな宿命と抱えているといえます。
外資系のコンサルティングファームでは実装に関与するコンサルタントは国内の競合他社との価格競争上通常のコンサル業務よりもかなり安い単価での提供を余儀なくされることから、あえて実装部隊を別会社や子会社にすることでデリバリーに関わる人間の給与体系自体から別のものにするといった経営努力をしているところもある位で、呼び名の問題だけでなく仕事の中身によってはコンサルなみの単価を請求できないというかなり厳しい現実が待っています。

ただ、最近ではAI関連などはエンジニアを名乗っても非常に高い単価で向かい入れられる領域も出現していますから、何を実装できるエンジニアなのかによっても価値は大きく変化しそうな状況になっています。
つまり社会的な需給バランスの中で余人をもって代えがたい知見と経験を有している者ならばエンジニアを名乗っても応分の請求を行っていくことができますが、競争環境が激しく単価が抑えられている一般のエンジニア業界ではどうしても分が悪いのが実情といえます。
同じ実装作業を行うにしてもコンサルタントの経験をもっていればフリーコンサルとしても評価されますので、この業界もどこを入り口にしてキャリアを積み上げてきたかで、実際の能力は大して違わなくても請求単価にはかなり大きな違いがあることはあらかじめ理解しておく必要がありそうです。
ITの世界でも最初から独立を考えて働いている人は少ないと思いますが、フリーランスになったときにこうした部分で大きな差がでることはやはり意識しておく必要があるのではないでしょうか。