国内の企業でコンサルとの業務委託契約を結び仕事を依頼する地方企業というのは想像以上に多いものです。
たとえば地方の電力会社などはほとんどコンサルを利用してERPを導入したりしていますし、工場設備をもった大手企業も地方には多く存在しており、こちらもサプライチェーンやERPなどについてはコンサルが業務を受注することが多くなります。しかしだから地方都市にコンサル会社が設立されたり、大手のコンサルファームに社員が常駐する支社などが設置されているかというと必ずしもそうではない現実があります。ほとんどはやはり東京からの対応というのが現実の姿なのです。
今回はそんな地方におけるコンサル業界の現状についてまとめてみることにします。

戦略コンサル、ITコンサルはほとんどが東京から出向くケースが多い

大手のコンサルティングファームは便宜上大阪や名古屋、京都、福岡などの地方都市にコンサルタントのワーキングスペース用にオフィスを支社という名目で開いているところもありますが、バックオフィス機能と人員は東京周辺にしかなく、あくまでコンサルタントの常駐場所として機能しているケースが殆どで、人間のアサインも含めて東京のヘッドクォーターで一括管理しているのが実情です。
大阪あたりならば在版企業の需要から考えて地場のコンサル会社というのが成長してもおかしくはないのですが、実際には東京の会社がほとんど対応しているのが実情で、マーケティングやSEOのように特定領域に特化している企業はローカルでも存在しているようです。またクライアント側も東京から最新の情報をもって駆けつけるコンサルタントに魅力を感じる部分多いようで地方だけでワークする戦略、ITコンサルというのはなかなか存在しないのが実情です。

■IT会社の実装部隊は地方にも存在
ただ、全国的な営業展開をしている本邦系のIT会社は地方にもそれなりに実装のできる実働部隊を抱えているようですが、なぜかコンサルに関しては特定地方だけに特化した部隊を設置しているところはほとんどないようです。
やはりコンサルとSIというのは明らかに異なる業務であることがこうしたところを見ても理解できる状況です。

米国は主要都市にコンサルが配置されている

日本のように東京という主要都市だけにコンサルをかかえるという仕組みを米国のコンサルファームも同じように行っているのかといいますと、こちらはまたちょっと状況が違うことがわかります。
たとえばひとつのコンサルティングファームでも金融部門はHQをニューヨークやシカゴに置いていますし、製造担当部門はテキサスを本拠地にしています。またIT部門は西海岸のほうに部隊を結集させていますから、米国ではクライアントの需要地にしっかりコンサルと統括部門が分散配置されていることがわかります。
日本ならばさしずめ繊維と流通は大阪とか自動車関連の製造は名古屋といった設置がはかられてもいいはずなのですが、どうもそういう形になってないのが正直なところといえます。


日本の場合は飛行機で移動しても1時間から2時間程度で全国どこへでも移動が可能ですから、移動コストと時間のことを気にしなければ東京から出向く、あるいは一定の業務受注期間のみ地方に滞在するというやり方をとっても十分にペイすることから東京のコンサルファームがすべてに対応しているという状況なのでしょう。
今後、人口減少、高齢化などが進むとますますこうした状況は強くなることが予想され、残念な話ではありますが地方都市でコンサル業が成立する部分はさらに少なくなってくるのではないでしょうか。