2020年は米国大統領選挙年ということもあり年初から米株は上昇を継続し、比較的景気も安定して推移するものだとばかり思っておりましたが1月に中国全土で発生した新型ウイルスによる肺炎の感染は想定をはるかに超える世界的なパンデミックへと発展してしまい、感染対策に高をくくっていた米国、英国、日本はきわめてクリティカルな状況に陥りつつあります。
今年の経済見通しに関してはこの新型コロナの感染騒動がどこで収束するか次第の状況になってきていますが、夏になれば収束するといった単純な話ではなくなりつつあり、またSARSの発生した2003年のタイムフレームもまったく参考にならないところに差し掛かりつつあります。

(画像-出典:Data ZeroHedgeより引用)

■中国起因のサプライチェーン問題から各国独自の消費激減、失業問題へ
この新型コロナが1月に中国で感染が蔓延し始めたときには2003年のSARS騒動と同じように限定された地域での騒動で収束するのではないかといった楽観的な見方があり、国内ではいち早くインバウンドで来日する中国からの旅行者を止めることができませんでしたし、習近平主席の4月来日もずっと継続して検討していたことが悔やまれます。こうした楽観的な状況は米国ではより強く、所詮極東地域の限定的な問題と認識されていたことから中国での感染者数の爆発的な拡大もほとんど米株の下げには影響を与えない状況が続いていました。
このためもっぱら影響がでるのは武漢などで製造されている車の部品等の中間財のサプライチェーンで、世界的に製造業の世界で大きな影響がでるものと想定されていました。

しかし実際に蓋を開いてみますとどの国でも都市部での感染者が爆発的に増えることにより都市封鎖、飲食店等広範な小売業の業務停止等を余儀なくされることになり、それにともなう失業者の増加も目を見張るような規模とスピードで進展することになってしまいました。
特に米国では日本などと比べてもいとも簡単に多くの労働者が失職することとなり、すでに3月末からの新規失業保険の申請件数は1700万人に迫る勢いとなっており、4月中にも失業率は10%を超えるのではないかといった予測もではじめています。

米国の経済的落込みは激しいものに

すでに中国を超えて世界でもっとも新型コロナによる感染者数を誇ることになってしまった米国は失業率のみならず経済的な落ち込みも極めて激しいものになりつつあります。4月10日現在ではすでに46万6000人超の発症者がでているわけですからニューヨーク以外にも相当な都市でのロックダウンが続き、それに呼応するように経済はかつてないほどのダメージをうけています。

ご覧の棒グラフはJPモルガンが予測した2021年までのGDPベースでの損失額予想ですが、トータルでは8800兆円ほどある世界のGDPのうち550兆円が失われると予想されており、6%以上のGDPが縮減されるリスクに見舞われていることがわかります。なかでも当然母数の大きな米国がダントツでそれに欧州、日本、UKなどが追随する形となっています。

(画像-出典:JPMorganより引用)

日本も消費と雇用の問題が極めて厳しい状況に

日本はといいますと、米国に比べればまだ経済損失は少ないように見えますが、先進国の中ではオリンピックの中止を恐れてなのかもっともPCR検査を実施しておらず、感染者がどこにいるのか、どういうクラスターを形成しているのかもわからないままに非常事態で国民の外出とサービス業の営業自粛と求めているだけで、テレワークに見合わないビジネスを行っている多くのサラリーマンは毎日混雑する電車で出勤を余儀なくされるというパラドックスを繰り返していますので、結果的に想像を絶するような感染者数と死亡者数をたたき出してしまう危険性は残されており、経済的に壊滅的ダメージを受けるリスクが延々と残る状態です。

(画像-出典:Data Fitantial Timesより引用)

直近で公開されたOECDによるGDPの落込み予測ではG20プラススペインの中でも日本がダントツの下落予測になっておりすでに30パーセントを超える落込みが想定されはじめています。
こうなるとここから2020年の経済はいつ新型コロナが収束するか次第でかなり結果が異なることにありますし、個別の国の対応次第でダメージが大きく変化することをあらかじめ覚悟しておかなくてはならないところにあるようです。