RPAは今後、拡がっていくか
2016年ごろから急激に導入が進んだRPA・ロボティックプロセスオートメーションですが、ここへ来てその導入率はさらに上昇する勢いであり、米国に比べても本邦での利用が確実に進んでいることが判る状況になりつつあります。
この手のサービスの普及はとかく欧米から大きく遅れて、周回遅れのような導入になることが多いのが本邦市場の特徴でもあったわけですが、どうやらRPAは多くの企業の賛同を他機関に得られているようで、その普及は想定以上に早くなっているというかなり喜ばしい状況のようです。
国内ではいくつかのシンクタンクや調査会社が導入状況を調べているようですが、やはり導入に踏み切るのは大手が多く、すでに導入率は全体で4割近くになっており、とくに大手はすでに5割を超えるという調査結果も出始めています。
働き方改革が厳しく指摘される昨今、夜や土日も問わず稼働するRPAは一旦設定が済んでしまえば安定稼働できる点も多くの企業が導入に前向きな理由になっているようです。ERPについては米国での普及からかなり遅れた日本市場でしたが、RPAに関しては利用企業との相性もかなりいいようで、思った以上に導入が進んでいる状況にあるようです。
利用業種も一段と拡大傾向に
RPAの普及当初は銀行や生命保険など金融関連での導入が圧倒的多数を占めましたが、足元では広範な業種業態の企業が利用を開始しおり、企業規模も徐々に大手から中堅中小へと広がりを見せていることから、国内では企業とこのサービスは非常の親和性の高いものになっていることがわかります。
もともと複数のITシステムを連動して入力や稼働させるPRAの仕組はプログラミングによって実現するものではない点も導入の障壁を和らげるものとして機能していることがわかります。
ただ、導入にあたっては社内にRPAに対応できる人材が確実に必要になっていることもまた事実のようで、こうした人材の開発がさらなる導入には大きな課題になりそうです。 また現状ではAIとの連動を行っているRPAは非常に限られており、こうしたことも気軽な導入を後押しする材料になっていることがわかります。
■新型コロナの影響によるテレワーク化の進展がさらに導入の呼び水に
足もとでは新型コロナウイルスの感染が拡大し、多くのホワイトカラーを抱える企業では否応なく自宅でのテレワークを余儀なくされていますが、伝票処理や月次の決算処理などITシステムを利用したルーティング化業務といえども自宅からのアクセスではできない領域の業務改善を考えた場合RPAのような仕組みに依存することが今後ますます多くなることは間違いなさそうで、新型コロナの問題がRPA導入を考える企業の数をさらに増加させることが考えられそうです。
次のステージはAIと連動した高度な業務への導入
ITシステム間を連携する業務に関しては既存のRPAを駆使することでほとんどが解決することとなるわけですが、今後さらに期待されるのがAIを同時に実装し一定の判断の伴うような業務についてもRPAに任せることができるかどうかという領域になりそうです。
とくにテレワークが今回のような新型コロナを契機として非常に広範に導入されるようなことになれば単純作業からもう少しレベルの高い判断の伴うような業務にもRPAを導入したいと考える企業が増えるのは当然のことでRPAサービスを提供する側の高度な仕組の提供というものがその導入を促進する決め手になる可能性がでてきているといえます。
いずれにしてもかなり短期間でRPAを導入した国内企業が多いということはこうしたサービスは国内企業から非常に認められやすく、しかも成果が明確に可視化されるという点でも本邦企業にはもってこいの仕組になっていることが容易に理解できます。
足もとでは新型コロナの影響を受けて簡単に導入が進まない時間帯に突入していますが、今後ウイルス問題が収束した段階では一段と導入する企業が増えることが期待されるところです。
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