2020年に読むべきおすすめの本
はからずも2020年は新型コロナの感染からとてつもない時代にいきなり突入した感があります。多くのインフォメーションワーカーと呼ばれる人たちはいきなりテレワーキングの世界に投入されることになってしまい、逆に自分のために使える時間が増えつつある状況です。こんな時にこそポストコロナの時代に向けて知見を積み上げることに時間を使うことがお勧めになります。
そんな方々に今の時代だからこそこのタイミングに読まれると役にたつ4冊の本をご紹介いたします。
■世界は感情で動く
世界は感情で動くはマッテオ・モッテルリーニが10年ほど前に執筆した本で、行動経済学を基本とした内容で基礎的な用語と39の事例によって行動経済学の考え方がどのようなものなのかを紹介されています。豊富なエピソードで一気に読める脳のトラップ回避法が非常に面白いものといえます。
世の中すべて「直感」からはじまる!銀行の倒産、株価暴落、不動産市場の動向、大統領選挙、イラク戦争、医者の診断、裁判の判決、人事考課、性格診断、宝くじの当選…。人は直観が大好きで理屈で考えるよりも先に無意識に行動するものであるというのがこの本に一貫した情報となっています。それは集団をも巻き込み、国家や企業の命運や人命に関わる重大な決断や判断さえも左右する重要なファクターになっていると説いていますが、こうした視点で足元の社会状況を見直してみますとまた大きな気づきが生まれるのではないでしょうか。
■ネクストソサエティ― 歴史が見たことのない未来がはじまる
ネクストソサエティはピータードラッカーが書いた未来予測本で、決して新しい本ではありませんが、その中身は今読んでみると非常に納得のいくことが多数織り込まれています。とくに日本にとってのこれからの最大の問題は経済そのものではなく社会のほうにあると指摘している内容はまさに足元で起きている問題や脅威に壓がっていることを感じさせられます。今日先進国はどこも少子高齢化の大きな影響を受けており、とくに少子化は簡単に解決がつかないうえに高齢化がもたらす社会的なコスト負担をどの国も支えきれなくなりつつあります。来るべき未来に対応するために、企業の雇用はどうあればいいのか、さまざまな雇用形態が入り乱れるなかで、マネジメントはどのようになされるべきなのか、個人はどのようにキャリアを磨いていけばよいのかという領域に非常に大きな示唆を与えてくれています。
新型コロナで混乱した社会状況だからこそ冷静かつ客観的にこの世の中を見直してみるのにはいいきっかけとなる一冊ではないでしょうか。
ブラックスワン
この本が原書で刊行されたのは2007年ですから決して新刊というわけではありませんが、その内容はかなり足元の経済・社会を見るうえで参考になる内容となっています。タイトルのブラックスワンですがその昔西洋では、白鳥と言えば白いものと決まっていたわけですがオーストラリア大陸の発見によって黒い白鳥がいることがわかったことで白鳥は白いという常識はいきなり覆ってしまったという逸話に起因したものとなっています。現代におけるブラックスワンとはほとんどありえない事象、誰も予想しなかった事象の意味を指すものなのです。
この本の著者であるナシーム・ニコラス・タレブによればブラックスワンには3つの大きな特徴があるとされています。1つ目は予測できないこと。2つ目は非常に強いインパクトをもたらすこと。そして3つ目は、いったん起きてしまうと、いかにもそれらしい説明がなされ、実際よりも偶然には見えなくなったり、最初からわかっていたような気にさせられたりすることであるとされています。本書は上下巻になっていますが、これを読まれると世界の見方は一変すると言われています。
おもろしいのは著者のタレブは文芸評論家でありながらデリバティブトレーダーでもあり、投資の世界に生きている人だということです。もちろん今では学者として活躍していますが、金融市場に係わった人物がこうした内容を執筆しているというのもまた非常に興味をそそられるものとなっています。
FACTFULNESS(ファクトフルネス)
FACTFULNESSは2019年間ビジネス書・実用書ランキング1位となった本ですからすでにお読みになった方も多いと思いますが、ファクトフルネスとはデータや事実にもとづき、世界を読み解く習慣。
賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につくという内容です。この本では世界の基本的な事実にまつわる13問のクイズを紹介していますが、どれも正解率は30%以下になっています。しかも専門家、学歴が高い人、社会的な地位がある人ほど正解率が低いとされているのです。その理由は簡単で10におよぶ本能が思い込みを引き起こし結果それにとらわれてしまっていることを詳しく解説しています。
あらためて思い込みを排してこの世界を見直してみると真実を見極めることができるようになるのではないでしょうか。そんな助けになるのがこの本といえます。
以上、今回ご紹介した4冊はいささか今という社会状況をかなり意識したものとなっていますが、この時期にこそ読むことで得られるものが多いのではないかと考えます。時間があればぜひ手にとって内容を確認されてみてはいかがでしょうか。
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